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2004.02.15

『ソラリス』&『惑星ソラリス』

『惑星ソラリス』のリメーク版が作られていると聞いた時、絶対『惑星ソラリス』を先に見てから『ソラリス』を見てみようと決めていた。

なのに、いつも行くレンタルビデオ屋さんには『惑星ソラリス』は置いてなくて、『ソラリス』から先に見てしまった。

原作は2本ともスタニスワフ・レムの名作SF「ソラリスの陽のもとに」

そして2本とも大きな設定は同じです。

惑星ソラリスを研究するというプロジェクトがあった。
しかし、ソラリスに向かった飛行士や科学者に異常が起こった様子。

地上では、このプロジェクトをこれ以上継続するかどうか議論された。
ソラリスの海が高度な知性をもっているのではないかという仮説が唱えられていた・・・

宇宙コロニーに現在残っているのは3名の科学者だけ。
主人公はこの計画の中止を伝える者としてコロニーに送り込まれる。

主人公はそこで、荒んだコロニーの内部と2人の科学者の奇妙な行動にとまどい、友人だった科学者が鬱病のために自殺したことを知る。
主人公に「これは幻覚ではない。良心の問題だ。わたしは自分で自分を裁く」という謎めいたメッセージを残して。

そんな主人公の前に死んだ妻が現れる。
ソラリスの海が、人間の心の奥にあるイメージを具象化して送り込んできたのだ・・・


『ソラリス』2002年 米
監督:スティーヴン・ソダーバーグ
出演:ジョージ・クルーニー ナターシャ・マケルホーン
製作:ジェームズ・キャメロン

まだ見ていない『惑星ソラリス』をどんなふうにリメイクしているのか・・・
最大の興味はその一点にあった。

窓ガラスを打つ雨・・・水滴・・・お~っ、タルコフスキー的じゃん! 
と思ったのは最初だけで(最後にも同じようなシーンが出てきたけど)、内容はまさにスペース・オペラ仕立て。

何も考えなくてもいいくらい、話はとんとんと進み、わかり易い。
ただ、ソラリスに関してやたらモヤモヤした霧のような気体が写るばかりで、この映像にイライラし始めて、私の心はこの映画からどんどん離れていってしまった。

ハッキリ言って、そもそも、私はジョージ・クルーニーが好きじゃない。
『オーシャンズ11』を見て、あまりのつまらなさに心底ガッカリしてしまったもので。ブラピとジュリア・ロバーツとマット・デイモンが出てるってんで大期待で見ただけに落胆は大きかった。
そのコンビのソダバーグとクルーニーにまたやられちまった・・・(泣)

この映画は、一口で言えば、超常的なミステリー現象の中、失った愛を取り戻そうとする男のラブロマンス。良く言えば、スタニスワフ・レムの原作の分かり易い部分だけをいただいた娯楽作品。

何が何でも『惑星ソラリス』を見ないことには、何も語りたくない。
と、別のレンタルビデオ屋さんに電話で在庫確認、飛んでいく。


『惑星ソラリス』1972 年 ソ連
監督:アンドレイ・タルコフスキー
脚本:アンドレイ・タルコフスキー、フリードリヒ・ガレンシュテイン
出演:ドナタス・バニオニス、ナタリア・ボンダルチュク

冒頭の映像から心が躍った。
清澄に流れる水、水の中で揺らぐ水草・・・
タルコフスキーの「水」は人間の「命」、そして水の惑星「地球」への愛を象徴していると思っている。
なので、冒頭からタルコフスキーに会えた! と思った。

1部は序章(40分とちょっと長かったけど)
たっぷりと、地上と人間が映し出される。
説明はなく、「映し出される」・・・のです。

※ソダーバーグの『ソラリス』は『惑星ソラリス』の2部から始まった・・・と私は思った。

タルコフスキーの映画は、画面から目を離せない。
まさに、映像そのものが哲学を語っている。

どんなにテクノロジーが発達しようと、人間の心は「謎」を秘めており、「愛」や「良心」はテクノロジーでは決して解明できない・・・

見終わって、そんな人間・人類・そして地球への、タルコフスキーの深い愛情(希望だけでなく絶望も含めた)を感じた作品だった。

『ソラリス』『惑星ソラリス』は全く別の作品と思ったほうがいいね。
どちらが面白いかは、見る人の好み。
同じ原作でも作品作りのモチベーションが違うと、こんなにも違う作品になるのだということが良く分かった2本だった。

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