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2004.05.13

ちょっとご無沙汰でした・・・

先週末、突然、知人・A子が上京してきた。

サングラスを外したA子の顔を見て、涙と怒りがこみ上げてきた。
A子の左目の周りが広範囲に青黒く変色している。
原因は暴力・・・
目と目の周りを拳で強打されたのだ。
眼球に損傷がなかっただけでも、幸いだった・・・

結婚30年に近いA子夫婦。
その間、何度か伴侶に殴られ、実家に逃げたという話は人伝に聞いていた。
また、言葉による人格攻撃もひどいとは聞いていた。

あきらかにDV(ドメスティック・バイオレンス)ではないか・・・

長所も欠点もひっくるめて一人の人間。
しかし、DVのバタラー(殴る人)は欠点を拡大解釈して、欠点ばかりを突いてくる。
その挙句、肉体的虐待に加えて精神的虐待を・・・
虐待を加えている間、バタラーにとっては相手は人格を持った人間ではなく、
「自分の思い通りにならない所有物」
「相手が悪い。だから殴られて、あるいは罵詈雑言言われても当然」とバタラーは
自己を正当化する。

恋愛し、結婚し、子供を作り、経済的にも恵まれ、傍目には何の問題もない家庭。
「離婚」を口にしながらも、30年近くその家庭を守ってきたA子の心が揺れているのは
よく分かる。

A子が上京してきたその夜、彼女の夫から電話が入った。
子供の問題で激しく夫からなじられたA子は、青黒いあざをサングラスで隠して、翌日、
実家のある街に戻っていった。

いろいろとアドバイスは出来ても、私はA子を無理やり引き止める事は出来ない。
A子の人生はA子が決めるしかないのだから・・・

私の場合、自分の最低限の人間としての尊厳を取り戻すために戦った。
2年という短い間だったが、私自身や私の身内への肉体的暴力、精神的暴力を受けて、
私は自分に心身症の症状が現れていることにギョッとした。

DVを受けると、自分が傷ついていることさえも無感覚になってしまう。
相手の暴力や言葉を思い出すと全身が恐怖に縛られて、その恐怖から逃れるために何
も考えなくていいように、頭の中を空っぽにしてしまう。

しかし、自分の意識していない心の奥底で、傷ついた心が悲鳴を上げている。
何にも考えていないはずなのに、町を歩いている時、電車に乗っている時、突如として涙
が噴出して止まらなくなる・・・
相手と関連した地名を聞くだけで、頭の中がボーっとしてもやがかかり、重くなってしまう・・・

私はそんな状態から一刻も早く抜け出すために、心療内科に駆け込み、カウンセリングで
の治療を始めた。

同時に家庭裁判所に申し立てをして、相手に肉体的暴力と精神的暴力に対しての謝罪を
要求した。
(申し立てのためには「慰謝料の請求」が必要項目だったので、申立書にはとりあえず
慰謝料請求額を記入。しかし、調停が始まってすぐに慰謝料は取り下げた。私が欲しい
のは、人間としての誇りの回復。相手からの謝罪だったから)

途中、謝罪のみの要求というのは家庭裁判所の調停にはそぐわないという問題が起こった
が、女性の調停委員さんが私の立場と状態に理解を示してくれて、調停成立まで頑張って
くださった。
3回目の調停で、こちらの要求どおり、相手からの謝罪を得ることができた。

そんなふうに、自分なりにDVと戦った私だけれど、それでも、相手の暴力を受けていた時の
ことを思い出すと、今でも頭の中が痺れたような、言い知れぬ恐怖感が心のどこかに棲みつ
いている。

殴ったほうは、手の痛みが去れば、何事もなかったかのように生活に戻れるだろう。
しかし、殴られたほうは、体の痛みと同時に心にも大きな傷を受けているのだ。
そして、心の傷はそんなに簡単には癒されることがない・・・

私から見れば、典型的なバタラー(殴る人)とバタード・ウーマン(殴られる女)の夫婦。
この共依存の鎖はどうしたら断ち切ることが出来るのだろう。

これから先、もし二人がまだ一緒に暮らすことを望むのなら、せめて、二人ともがカウンセリング
なりうけて自分自身を変えていく努力をしない限り、DVの教科書どおりのサイクルを繰り返す
ことだろう。

彼らに対して、いったい私に何が出来るだろう・・・
言いようのない怒りと悲しみで一杯のこの一週間だった・・・

【DV関連参考】
なづな(女綱) ~ストップDVとやま~
「First Step(ファースト・ステップ)」
aware(アウェア)
DV加害行動変容プログラム研究会
DVに関わる人々

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