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2004.06.24

『砦なき者』 野沢尚

toridenakimono.jpg脚本家としてもベテランの野沢尚氏の作品。

報道番組『ナイン・トゥ・テン』に売春の元締め
として登場した女子高生が全裸で首を吊った。
恋人を番組に殺されたと訴える青年八尋樹一郎
の姿は、ライバル局の視聴率を跳ね上げた。
メディアが生んだ一人のカリスマ。その邪悪な
正体に気づいたのは、砦を追われたテレビマン達
だった・・・

すでに今年の4月、原作者自身の脚本でドラマ化、
テレビ朝日で放映されている。

後追いで原作を読むということは滅多にないんだけれど、この作品はテレビや携帯、
ネットなどのメディアを真正面から捉えているということで、読んでみたかった作品だ。
主語が突然変わったりする部分があって、ちょっと戸惑いつつ読み進めているうちに、
『破線のマリス』の続編だということにやっと気がついた・・・。
『破線のマリス』はだいぶ前にレンタルビデオで見たが、その作品もテレビメディアの
恐ろしさを内側から暴いて見せた作品だった。

この『砦なき者』はメディアのマリス(悪意)に対して、一視聴者のマリスが巨大に増殖
しカリスマとなってメディアのマリスを飲み込もうとする復讐劇だ。

『君たちがテレビという「遠眼鏡」で見た現実は、君たちが引き篭もっている狭い部屋に
様々な怒りと憎しみを運んでくるはずです。テレビというメディアは物事をとても分かり
やすく大衆に伝えるのを得意としていますから、君たちはそれについて深く突き詰める
手間暇はいらず、簡単に怒ったり憎んだりできるのです。(中略)肝心なのは、テレビが
君たちにもたらす感情を拳の中に握りしめ、部屋の壁に守られた想像の世界ではなく、
扉を開けて、現実に向かって突きつけるのです』

テレビ番組を作る側にいる者としても、一視聴者としても、どちらの自分にも心に痛く響く
警鐘のような言葉が散らばっている作品だった。

ところで、平成12年にNHKで放送された野沢さんの脚本作品「ネット・バイオレンス・
名も知らぬ人々からの暴力」のビデオを持ってる方いませんか? 観たいのですが、
貸していただける方がいましたらメールください。よろしくお願いします。

★『イラクの中心で、バカとさけぶ』と『さらば小泉純一郎!』の感想は『しだらでん』へ。

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