映画『チョコレート』
監督: マーク・フォスター
脚本: ミロ・アディカ/ウィル・ロコス
出演: ハル・ベリー/ヒース・レジャー
ビリー・ボブ・ソーントン/ポーター・ボイル
【内 容】
公式HPより
ディープサウス(深南部)と呼ばれるジョージア州で州立刑務所に勤めているハンク(ビリー・ボブ・ソーントン)は、黒人嫌いの保守的な父親バック(ピーター・ボイル)から、偏見と、看守という仕事の両方を受け継いだ男。その父親はずっと以前に引退し、今は自宅で療養の身だが、いまだにこの家の主として君臨し続けている。ハンクの一人息子ソニー(ヒース・レジャー)も看守になったばかりだが、近所に住む黒人のクーパー(モス・デフ)一家と親しく付き合う彼を、ハンクは日頃から情けなく思っている。
黒人の死刑囚マスグローヴ(ショーン・コムズ)の刑執行の日、任務を満足にこなせないソニーにハンクは積もり積もった怒りを爆発させた。だがその翌日、ソニーはハンクの目の前で命を断ってしまう。
マスグローヴの妻レティシア(ハル・ベリー)は、夫が服役していた11年間、女手ひとつで息子タイレル(コロンジ・カルフーン)を育ててきた。
死刑囚の夫が処刑された後、レティシアをさらなる悲劇が襲う。激しい雨の夜、息子タイレルがひき逃げ事故であっけなくこの世を去ってしまったのだ。車にひかれた息子を病院に運んでくれたのは、たまたま通りがかったハンクだった。肉親を失った悲しみの底で、ふたりはやがて、喪失感を埋めるように互いを必要としていく。あれほど憎んでいたはずの黒い肌をしたレティシアをいたわることに、もはやハンクは何の疑問も感じなかった。だが、レティシアは、彼が夫の刑を執行した男であることをまだ知らない・・・・・・。
【感 想】
前から観たかった作品をやっと観た。
が、正直、内容的には期待はずれだったんだよね。
早く言えばメロドラマだよね、これ。
生まれついての人種差別者が、息子の命を掛けた抗議の自殺で変化して行く。
さらに、黒人女性と知り合い、心の空白を埋めあううちに愛を感じていく。
それでこの男の中に根付いていた人種差別が取り払われていく。
・・・とストーリーはなっているんだけど、本当にこの男の中の人種差別はなくなったんだろうか?となんかスッキリしないものが残ってしまう。
なぜなら・・・男が変わって行く過程が「形」としては見えるけど、心の葛藤が見えないんだわ。
心の隙間を埋めあう激しいSex・・・Sexもコミュニケーションの一つとしてそれはそれでありだと思うし、人種の壁を乗り越えるには一番の近道。
なんだけど、そこが強調されると、それですべて解決かい?って見る側は欲求不満(笑)
この映画でへぇ~っと思ったのは、彼女のために保守的人種差別者の父親をサッサと介護病院に送り込んでしまうところ。さすが、親子といえども個人主義の徹底したアメリカだわ。
そして、この「徹底した人種差別主義」者の父親がしっかりモンスターに見えたこと。
※ちなみに、この映画の原題は『Monster's Ball』=死刑囚最後の晩餐を意味するそう。
そして、もう一つのへぇ~は、やっぱりハル・ベリーが美しかったこと。
この映画、美しいハル・ベリーと彼女のアカデミー賞熱演を見るだけでも価値があるかも。
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コメント
はじめまして。TBさせていただきました。
私の感想とかなり似ています。
ハル・ベリーはきれいですよね。
投稿: EARTHBLUE | 2005.02.26 17:07
TBとコメントありがとうございます。
お礼が遅くなってすみません。
「差別する血は母の胎内から」と言ったのはマルクスだったでしょうか・・・
それほど「差別」の根は深いということで。
その意味で生まれた時から頑固な「人種差別者」の父に育てられた主人公の人種差別が、あんなに簡単に解けるとはどうしても思えません。
なんだか描くべき肝心のところが抜けてしまった映画・・・って気がしてならなくて。
その意味では EARTHBLUEさんと感想は似ていますね。
投稿: ラブママ | 2005.03.03 19:39