花より先に実のなるような・・・
嫌なんです
あなたのいってしまうのが
花より先に実のなるような
種より先に芽の出るような
夏から春のすぐ来るような
そんな理屈に合わない不自然を
どうかしないでいてください・・・
今日一日、何もかもが、いつもと違って感じられた。
苦手な税務署で、若い署員さんがお昼休みも返上して税務に無知な私のために一生懸命説明をしてくれた。
苦手なことも、嫌なことも・・・生きてる証拠。
親切な署員さんに心の中で手を合わせて感謝した。
書店で女子高校生と並んでアイドル雑誌を立ち読みした。
もしかして、同じアイドルグループのファン同士かもしれないと思うと、心からとても嬉しくなった。
駅ビルのエレベーター前で超高齢者のグループに出会った。
半分が支えなくては立てない老女たち、あとの半分は小さくなった体を車椅子にちょこんと乗せていた。
若い男女のヘルパーさんたちがテキパキとお世話をしていた。
そこに妊婦さんがやってきて、超高齢者も妊婦さんもみんなが一つのエレベーターに乗った。
こうやって、順繰りに命は繋がっていく、本当はこうあるべきなのだと当たり前のことに涙が出てきた。
7月11日午前4時28分・・・
外廊下の人声で目が覚めた。
ラブ&セントも異常を感じたのか吠える・・・
廊下の外で、なにが起こっているのか?
思いきって、ドアを開けて外廊下に出てみた。
「35.××メートル・・・」
一階上の14階の非常階段から男の人が二人、長い長い巻尺を垂らして地上までの距離を測っていた。
その瞬間に、そこで何が起こったのか理解した。
下を見ると、隣の清掃事務所の屋上に真っ白になった人間の体の一部が千切れて落ちていた。
見つからない体の一部を探して捜査員たちがやってきて、千切れた腕をビニールの袋に入れた。
マンションの住民ではなく、外部からやってきたらしい50歳代の女性のものだという。
飛び降りたのは約一時間前の3時半頃だったとか・・・
そんなことがあっても、いつもと変わりなく世の中は動いている・・・
でも私は・・・
駐車場から、その人の立った14階の非常階段がハッキリと見えるのです。
私の住んでいる13階のエレベーターを下りた途端に、その人の立った14階の非常階段が目の前に飛び込んでくるのです。
その人は何を思ってそこに立ち・・・
何を思って、そこから宙に舞ったのか・・・
そのたびに私は、その人のことを考えてしまう・・・
顔も名前も知らないその人のことを・・・
そんな理屈に合わない不自然を
どうかしないでいてください・・・
この詩は高村光太郎の「人へ」という詩の一部です。
智恵子に宛てた詩だけれど、この冒頭の7行は子供の頃から私の好きなフレーズです。
自らの死を考えている人すべてに、心からお願いします。
そんな理屈に合わない不自然を
どうかしないでいてください・・・
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