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2006.02.04

こまつ座『兄おとうと』

ani_ototo_ch_01 こまつ座第79回公演 『兄おとうと』 

1月19日(木)~2月5日(日)
新宿紀伊国屋ホール

作 井上ひさし
演出 鵜山仁
出演 
辻萬長、大鷹明良、小嶋尚樹、剣幸
宮地雅子、神野三鈴、朴勝哲(演奏)



【内 容】
兄、吉野作造。民本主義を提唱し大正デモクラシーの旗手となった偉大な政治学者。多くの門弟をかかえ人びとの尊敬を集めた。

 おとうと、吉野信次。兄作造より十歳下。東大法学部から農商務省に入り、のちに大臣を二度務めたピカピカの高級官僚にして凄腕の政治家。

 この兄弟、ともに信念固く仕事に励み、獅子奮迅の日々。生涯に、枕を並べて寝たことはほんの数えるほどしかなかった。それも、たまに会えば決まって必ず議論、議論、議論……!

しかも、兄作造を支える賢夫人玉乃と、弟信次に寄りそう賢妻君代は、血のつながった実の姉妹だった……!

2003年に初演。
演出の鵜山仁が読売演劇賞の大賞を、ピアノ演奏の朴勝哲が同優秀スタッフ賞を獲得した音楽評伝劇の傑作。
作者大幅に加筆し、大増補版でお届けする、堂々の再演!

【感 想】
2日、紀伊国屋ホールへ。

歌で幕が上がった。えっ、ミュージカルだったの?! と一瞬面食らう。
これまで井上ひさしさんの舞台は何本か観ているが、ここまで歌を使った作品は初めてのような気がする・・・

最初歌が続いて作品の中に入り込めなかったが、しかし、さすが井上作品。
明治42年~昭和7年の時代を背景に民主主義の父といわれた吉野作造とその弟でガチガチの官僚・吉野信次の対立と葛藤を描きながら、現代への鋭い問いかけがいくつも仕掛けられていた。

「政治の目的は民衆の利益を実現させることであり、政治の最終的な監督は民衆がおこなわなければならない」

天皇主権の「絶対君主制」の大日本帝国憲法下、「民主」という言葉はまだ禁句だった。その時代、吉野作造は政治は国民一人一人の意見や活動を重視すべきだと主張し、「民主」という言葉の代わりに「民本主義」を提唱したという。


井上ひさしさんはとても分かりやすい言葉で、吉野作造のいう民衆の幸せを語っていた。

「三度のごはん、きちんと食べて
火の用心 元気で生きよう きっとね」


貧しくとも、三度のご飯がきちんと食べられるような世の中に。
雨露しのげ、温かい布団に寝られる場所が誰にでも与えられるような世の中に。

そんな先人たちの多くの犠牲を経て手にした民主主義。
この国のトップが平然と「勝ち組、負け組」なんて言葉を使う今の時代、果たして、本当に民衆のための政治が行われているのだろうか?

「兄おとうと」を観ながら、私の気持ちは吉野作造の時代と現代を行ったり来たりしていた。


休憩時間に俳優の永島敏行さんをお見かけして、目が思わずミーハーになってしまう(^_^;)

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コメント

はじめまして。
とっても、ステキな文章だったので、おもわずTBさせていただきました。高知で見ましたが、さすが、紀伊国屋には俳優さんが来たりするんですね。ゴクリ。

投稿: なおこっと | 2006.02.23 20:40

レス、遅くなって申し訳ありません。

舞台お好きなんですね。
東京で舞台やコンサートに行くと、ついつい同業者や役者さんの姿を探してしまいます(^_^;)

ところで、一昨年だったか、宿毛市を舞台にドラマを書いた時(間寛平さんの少年時代のドラマ)、取材で高知市に泊まりましたが、いいところですね。
また行きたい~!

投稿: ラブママ | 2006.03.01 08:16

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