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2008.02.11

「羊水腐る」騒動 それにしても気になるのは

「35歳を過ぎるとお母さんの羊水が腐る」

あの歌手のこの発言を知った時、まず最初に驚いた。

25歳にもなって、こんなに無知な人がいるの?! って感じで。

19年前、私のテレビドラマのデビュー作は24歳の女性が結婚問題で心が揺れる話だった。
当時、未婚女性を「クリスマスケーキ」で表現することが流行っていた。
12月25日を過ぎて「売れ残ったクリスマスケーキ」に例えて、25歳以上の未婚者は「売れ残りのクリスマスケーキ」などと言われていた。

「結婚したい時が適齢期」と思っている私としては、世間がなぜ「24歳まで」を結婚適齢期と決め付けているのか理解できず、その根拠について調べた。

「25歳はお肌の曲がり角」=老化のはじまりと言われるが、お肌だけでなく身体全体も老化が始っている。
卵子も精子も、年を経るごとに老化していく。
高齢出産にリスクが多いといわれるのは、そんな経年変化=老化の所以だ。

それからもう一つの原因として、現実的に考えた時、出産・育児というのは女性にとっては重労働。なので一番体力のある20代で結婚・出産をしたほうがいい、というのが一部の人生の先輩達の考え方。

それらが「売れ残りのクリスマスケーキ」と言われる理由だと分かった。

「羊水が腐るから」などの説は、その時もその後も一切聞いたことがない。

問題の歌手は謝罪会見で、「普段から自分の言葉の使い方が良くなかった」と言っていたが、この人は本当に軽率な言葉の使い方をしていると思う。

2月3日の夜の番組でも生産者情報付野菜を作った農家の人に対して、とてもひどい発言をしている。

野菜の生産者の顔写真付きシールについて

「書いてあったもん私が作りましたみたいな(笑) 誰が作りました?私が。 って誰やねんみたいな。ネットで調べてくれても私、有名よみたいな?(笑)」

http://www.nicovideo.jp/watch/sm2228894
http://jp.youtube.com/watch?v=IyTHsqbvpDI

などと当の生産者が聞いたら傷つくような事を平気で言っている。

この歌手は、自分自身、有名になりたくてどんなチャンスも逃がさずに頑張ってきたんだろう。そんな自分を顔写真付きの野菜の生産者に投影したのかもしれないけど、誰もがこの歌手のように「有名になりたい」から顔写真を出すとは限らない。

それと、この人は「言いたいことをズケズケ言う」というのが売りのようで、「周りに受けるような言い方」をしてしまう人らしい。

私なんか、生産者の顔写真付きの野菜は憧れの的。
顔を出してまで自分の作物に責任を持つということだから、これほど安心出来る食べ物はない。
だから、価格は高い。それが憧れる所以であるわけ、庶民にとってはね。

仲間同士の会話ならどんな冗談も自由だけれど、公共放送での発言には気をつけなきゃ。


今回のこの件でもう一つ気になったのは、一部のコメンテーターたちの反応。

ネット上で非難の声が上がったことについて、勝谷誠彦氏は「ある種のいじめ」と言い、残間里江子氏は「言葉狩り」だとコメントしていた。
両者共に、これでは自由に発言することが出来なくなると。

しかし、両者の受け止め方に、私は違和感を感じてしまった。

両者とも恐らく山田美保子氏のことを意識しての感想ではないかと感じた。
山田氏はあの歌手の「羊水腐る」発言に一早く反応したコメンテーターで、コメントの内容はあの発言を容認・擁護した発言だったらしい。
そのことで、山田氏のブログには批判の書込みが殺到、いわゆるブログ炎上状態になった。(炎上は現在も進行中・・・)

それを知って、これではコメンテーターはテレビで迂闊にものが言えなくなる・・・というのが勝谷・残間氏の底辺にあったと思う。

だが、ちょっと待って欲しいと私は思う。

コメンテーターは擁護であろうが批判であろうが自由にものが言えて、一般人が意見をネット上で言い、批判派の方が多かったら「イジメだ」「言葉狩り」だと押さえつけようとする。ってことは一般人は「黙っとけ」ってこと?

確かに2ちゃんねるのコメントを読んでいると半分くらいは低年齢層、もしくは精神年齢が低そうな議論にもならない、感情的で汚い言葉の困ったちゃんの書込みはある。
しかし、問題の歌手の発言について「間違ったことは、間違っている」とハッキリ指摘する発言も多々ある。

私はたまに2ちゃんねるを覗く程度だが、香川・坂出殺人事件の時は2ちゃんねるをちょっと見直した。
世間では父親を犯人視する見方が濃く、ある女性タレントがブログで父親が犯人だと断定的に書いたことで人権問題に触れ、この女性タレントは無期限の活動停止処分になってしまった。
そのことが話題になっている最中、2ちゃんねるでは「おまいら、早まるな。父親が犯人でなかったらどうするんだ。地元では親戚の○(アルファベット)という人間が犯人だと噂になっている」旨の書込みがあり、そのスレッドでは父親犯人説を懐疑的に見る人も多くなった。

2ちゃんねるでは、メディアが報じない地元の人間からの書込みを読むことが出来る。
と、2ちゃんねるならではの特徴に感心したものだ。

「集団イジメだ」などと2ちゃんねらーを批判している勝谷氏は、実はかなりの2ちゃんねるワォッチャーらしい。

亀田騒動の時は亀田大毅を「偽装ボクサーと断定」「大阪の恥」とも言い切り、「(八百長非難は)社会の正しいバネが働いたのかもしれない」「ネットのチカラ」であり「大マスコミが庶民を騙している時代は終わった」とまで言い切っている。

また、亀田父が興毅に宛てた手紙のことで『侍ジャイアンツ』を引用し、 「(パクリに気が付いた)ネットの連中、君達は偉い」「2ちゃんねらはすごい、可愛くなっちゃった」「君達の力で大きなメディアの虚妄が暴かれていく部分があるよ」などと褒めまくっている。
http://jp.youtube.com/watch?v=hagLmZNLan0&feature=related

結局、コメンテーターと言えども、基底には感情的な好悪の印象があり、それにもとずいてコメンテーターの立場、発言があるのだ。

勝谷氏で言うと、もともと亀一家に対して好印象を持っておらず、なので批判が厳しくなる。よって2ちゃんねるの批判にも共感する。
一方、例の歌手の場合は、もともと好意的に見ており、「失言くらい許してやれよ」と思っているのに2ちゃんねるで批判が高まったことに対して「集団イジメだ」と糾弾したくなる。

ということは、とどのつまり、2ちゃんねらーや一般人と同じレベルの氏の発言・・・と私は感じてしまうわけで。

公共の電波で発言するコメンテーターならば、表現方法に個性は大事だけれど、まずはバランス感覚を持って、「問題になった事例」が正しいか正しくないかを検証した後に、批評・批判のコメントを述べて欲しいと思う。

『2ちゃんねるはなぜ潰れないのか?』(ひろゆき(西村博之)著 扶桑社新書)の中で、

 「2ちゃんねるのニュース速報版に書き込まれた情報を誰もが見ているのかというと、そけはありえません。スレッド数も膨大にあり、その中の一部を見ている人でも、何万人、何十万人しかいないと思われます。

 (注・ケツ毛バーガー事件を引用し)

 リアルのメディアがこの事件を報道しなければ、ほとんどの国民が気づかずに終わっていた、ということではないのでしょうか? インターネット上で10万人だけが知っている情報をテレビや新聞で報道した瞬間、情報を知っている人数が2桁ぐらい増え、何千万人という数になってしまうのではないでしょうか?

 インターネット上の情報というものは、メディアが報じなければ、まだ多くの人に知られるほどフラットな状況ではありませんし、インターネット自体を閉じようと思えば、まだ閉じられる状況にあります。

 しかし、メディア側がインターネットでの出来事をどんどん報道してしまうことで、リアルとインターネットの情報が密に紐付けされるようになり、結果的にインターネットの出来事がリアルの世界での常識とリンクし始めてしまったことは問題でしょう。
 

 (中略)

 テレビやポータルサイトは、大勢が一つの物語を共有するという共同幻想のためには都合がいい道具なのですが、インターネットの基本は、大勢が一つの物語を共有するという世界ではないような気がするのです。
 この2つがかかわり合うと、事件への影響力を過大にしてしまう現象が起こる、そのことをもっと認識すべきだと思うのですが・・・。」

 と問題提起している。

 「イジメだ」「言葉狩りだ」とのコメンテーターたちって、ネットのごく一部で起きた批判の声に対して、過剰反応しすぎでないのかなぁ。

 間違った知識や言動に対して、一般人が「それは間違ってるよ」と言えなくなる社会って、その方が怖いよ・・・・・・・と私は思ってしまうのだが。

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