映画『靖国』・・坊主憎けりゃ袈裟まで憎い?
『プログ・しだらでん』に下記UPしました。
●備忘録:映画「靖国」に政治圧力! & 映画『靖国』 予告編
『映画 日本国憲法』をご存知だろうか?
昨年12月、初めて 「映画人九条の会」第2回交流集会 へ参加した時のこと。
会場で販売されていた書籍やビデオの中から、あまりにもダイレクトなタイトルに惹かれて購入したDVD。
帰宅してそのDVDを見るまで、会場で私の隣に座っていた大きくて優しそうな外国人がこの作品の監督・ジャン・ユンカーマン氏だとは気がつかなかった。
米国人で、流暢な日本語を話し、映画人九条の会代表委員でもあるジャン・ユンカーマン監督。
この作品は、日本の『平和憲法』について世界の歴史学者や政治学者、人権運動家や映画監督などにインタビューしたドキュメント作品だ。
GHQ民政局で憲法草案作成に携わった女性、ベアテ・シロタ・ゴードンさんもインタビューに答えている。
女優・吉永小百合さんは、この映画に対して下記のようなコメントを寄せている。
日本が世界一強力ですばらしい武器を持っていることを知っていますか。
それは憲法第9条です。「映画 日本国憲法」をみて下さい。
世界一の武器の秘密を教えてくれます。
吉永小百合(俳優)
この映画だけでなく、ここ数年、外国人の撮った日本に関わる作品が続いて話題になった。
2005年
「あんにょん・サヨナラ」
日韓共同ドキュメンタリー。日韓共同で靖国神社の問題に取り組んだ世界初の
ドキュメンタリー。
釜山国際映画祭で最優秀韓国ドキュメンタリー賞受賞。
山形国際ドキュメンタリー映画際2005アジア千波万波特別招待作品
監督は韓国の金兌鎰(キム・テイルKim Tae-il)氏
恥ずかしながら、私はこの作品のことは知らなかった・・・
2006年
「硫黄島からの手紙」
監督: クリント・イーストウッド、製作: クリント・イーストウッド、スティーヴン・スピル
バーグ、ロバート・ロレンツ、製作総指揮: ポール・ハギス
紛れもないハリウッド映画。
2007年
『TOKKO 特攻』
日系二世のアメリカ人、リサ・モリモト監督作品。
リサは日本に住んでいた叔父が「カミカゼ」パイロットだったことを知って驚き、アメリカで一般に信じられている「カミカゼ」のイメージの真実に迫りたいと思う。
カナダのトロントで開催された北米最大のドキュメンタリー映画祭でプレミア上映され、大きな反響を呼んだ。北米の人々が持っていた「カミカゼ」のイメージとまったく違うものがそこにあったから。それだけではなくこのドキュメンタリーは、日本人が持っている従来の「特攻隊」のイメージをも変えるものだった。そこで急遽日本公開が決定されたという。
外務省系のジャパン・ファウンデーション(独立行政法人国際交流基金)の制作助成作品。
『ヒロシマナガサキ』
日系三世のアメリカ人、スティーヴン・オカザキ監督作品。
広島、長崎への原爆投下から60余年を経た今、“原爆の被害に対する認識と関心を世界に呼び起こしたい”と、監督自身が日本で500人以上の人に会い、取材を重ねた。
14人の被爆者、原爆投下に関与した4人のアメリカ人の証言を軸に、貴重な記録映像や資料を交え、広島と長崎における原爆投下の真実に迫る。
被爆者の想像を絶する苦悩と真正面から向き合い、25年の歳月かけて完成された渾身のドキュメンタリー。
アメリカのケーブルテレビ局・HBOドキュメンタリーフィルムの援助により製作。
外国人の撮った上記の作品に、“上映中止”に追い込まれるような事態は起こっただろうか?
『映画 靖国』に対して公開前の試写を要求した国会議員は、「政治的意図のある映画ではないか」と疑義を呈し、そのような映画に政府が資金援助する事を疑問視して、映画を見せろと迫ったという。
『映画 靖国』は、文化庁所管の独立行政法人・日本芸術文化振興会より平成18年度芸術文化振興基金、記録映画、募集分の助成対象に採択されて750万円の公的助成金を受けた映画だ。
映画『TOKKO 特攻』も外務省所管のジャパン・ファウンデーション(独立行政法人国際交流基金)の制作助成作品である。
アメリカ人監督の作った映画『TOKKO 特攻』には黙んまりだったのに、中国人監督の作った『映画 靖国』はなぜ事前検閲するのか?
中国人監督だからと、頭から反日というフィルターで見ているとしか感じられない。
この『映画 靖国』は日本芸術文化振興基金の助成だけでなく、韓国釜山国際映画祭アジアドキュメンタリーネットワーク基金の助成作品でもあり、日本、中国、韓国の3カ国の協力により、真のアジア友好を目指す合作映画として製作されている。
この作品に疑義を呈した議員達からみれば、中国に韓国が加わった作品となれば反日という言葉以外に想像力が及ばないのだろう。
見る前に決め付けるな!
といっても、政治と芸術の境界がつけられない人々にとっては、そんな言葉は無駄のようだ。
作品がどうよりも、中国人監督の作った作品に日本が助成金を出した・・・それだけで頭に血が上っているらしく、何を言っても・・・坊主憎くけりゃ袈裟まで憎いらしい。
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コメント
映画「靖国」を【検閲した】国会議員全員の名前を公表すべきですね。
なぜか、名前が出ているのは「自民党の稲田朋美衆院議員」だけです。
「表現の自由」が検閲で「偏っているから認められない」と言うなら。
その靖国の遊就館展示は「戦争賛美に偏って」いないというつもりか?
ウヨクを含め、靖国展示は【靖国史観に偏っている】のは周知のこと。
「お国のために、戦って亡くなった人を祀ってる」神社の展示だから、
歴史上「侵略戦争」という学問的評価とは、無関係に展示してるはず。
「靖国」は、そもそも戦後すぐ自ら【一宗教法人】の道を選んでいる。
一宗教法人の評価を、国会議員が云々するのは、政治的に問題ですが?
【検閲した】国会議員たちは「信教&表現の自由」をどう考えるのか?
この辺の「微妙な政治問題」を考えないとすれば。不思議な話ですが。
与党公明党なんか、この辺を突つかれると、マズいと思うけどね(笑)
投稿: たまり | 2008.04.09 22:14
有村治子議員の国会質疑議事録を読んで、猛烈に腹が
立ってしまいました。
たまりさんの書かれていることをそのまま質問として
ぶつけてやりたい(笑)
今回のきっかけになった稲田朋美という人のことを
改めて調べてみて、今時こんな母親がいるのかと
ちょっと驚きました。
南京大虐殺はない、従軍慰安婦なんかいない、
沖縄集団自決も軍の命令はなかった・・・
そういう歴史観の人なんですね。
それよりも驚いたのが下記の言葉。
「靖国神社というのは不戦の誓いをするところでは
なくて、『祖国に何かあれば後に続きます』と誓う
ところでないといけないんです」
「真のエリートの条件は、いざというときに祖国の
ために命をささげる覚悟があること。そういう真の
エリートを育てる教育をしなければならない」
軍国の母はまだ生きているんですね。
彼女にも子供がいるそうですが、真のエリート軍国少年
少女に育てているんでしょうか。
「国のために命を捨てよ」と。
自分の親でなくてよかった(笑)
投稿: ラブママ | 2008.04.10 22:39
「真のエリート」を、どう規定するかが問題ですが。
例えば戦中には、東条内閣の「商工相」に上り詰め。
戦後は内閣総理大臣として、日米安保改定に尽力した
岸信介のような人物を【真のエリート】とよぶなら。
>真のエリートの条件は、いざというときに
>祖国のために命をささげる覚悟があること
・・・という規定は、絶対に、出来ませんね(^w^)
いえば。【真のエリートの条件は、いざというときに
「祖国を売る」覚悟があること】でしょうね(^w^)
ついでに言えば、国民を売り、敗戦国の財産を隠蔽し、
隠蔽した国家財宝や軍事機密などの情報と引き換えに、
占領者の走狗となることで、戦争犯罪人の裁判を免れ。
傀儡政権の代理権力者となって国家国民を裏切っても
恬として恥じないのが「真のエリートの条件」ですか?
一般的には【売国奴】とか【恥知らず】とかいいますが
投稿: たまり | 2008.04.11 00:23
100% 同感!
たまりさんの言葉を、稲田朋美議員に突き付けてみたい・・・
投稿: ラブママ | 2008.04.15 02:07