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2008.12.12

サム・シェパード『飢えた階級の呪い』

戯曲集『埋められた子供』に収録されているもう一つの戯曲『飢えた階級の呪い』

こちらはとても読みやすくて、一挙に読んだ。
映画『パリ、テキサス』に繋がる、絶望的な家族の断絶・・・が底流にあるものの、『飢えた階級の呪い』では“断絶はあるものの血で繋がった家族”に対しての“”がハッキリしている。

それは不動産ブローカーや悪徳金融業者。
1978年初演の作品なのに、なぜか生々しく現代を感じるのは、“敵”がさほど変わってないからだろうか。

解説を読んでいて以外だったのは、サム・シェパードボブ・ディランの影響を強く受けていたということ。

それ以前の戯曲を知らないので比較できないが、解説によれば「以前の作風から微妙にしてして重要な飛躍を成し遂げている。一言で言えば非常に分かりやすくなったのだ」

そのきっかけがボブ・ディランと出合ったことだという。
ドラマーとしてアイク&ターナーやルー・リードのバンドに参加。また、レポーターとしてボブ・ディランの演奏旅行に同行したという。

「その旅を通じてぼくは人間を尊重することを学んだ」
そしてサム・シェパードボブ・ディランを世界で最も偉大な俳優だといった。

この戯曲集を読んで、心に残ったのはやはり解説でのサム・シェパードの言葉。

「一人の人間の中には多くの声がある。多数の異なった人間がいる。だったらどうしてそうした姿が現れる機会があっていけないのか」

20代の前半、私がある医療関係の学校の生徒だった頃、心理学の授業が終わった後、教授に一人呼ばれて、私がテストで書いた言葉の意味を聞かれたことがある。

その言葉とは・・・私の中には“I(私)”“YOU(相手)”“THEY(世の中・世間)”の三つの見方がいつもあって、葛藤している。でも、“YOU(相手)”“THEY(世の中・世間)”からなんと思われようと最後に私が選ぶのは“I(私)”だ、ということ。

それを聞いた教授は、なぜか私をノイローゼとか、解離性人格障害の病状のはじまりとか判断したらしくて、カウンセリングセミナーに参加するよう勧めてきた。

私にしてみれば、人格が分裂しているわけではなく、ものの見方が角度・立場によって違うということを言いたかっただけなんだけどね……

シナリオライターになってみて、その時のことを思い起こすと、やはり私はシナリオライターの適性はあったのかもと思う。

今、サム・シェパードの言葉に大きく頷く私がいる。

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