東京大学先端科学技術センター准教授・福島智氏
深夜、たまたまテレビをつけたら、福島智さん とお母様の姿が画面に映った。
NHKの「課外授業 ようこそ先輩」の再放送「みんな生きていればいい」だった。
福島さんにお会いしたのは、もう十数年前。
1995年に放送された金曜エンタテイメント・ドラマ『おふくろシリーズ11 おふくろの逆襲』 (主演:浜木綿子、松岡昌宏)は福島さんの原作を基にしたドラマで、その取材のためにお話をお伺いしたのが初めてだった。
その時、福島さんは「デブのデフ(deaf)です」とよく通る明るい声で自己紹介された。
深夜の画面には、声も体型もあの時とほとんど変わってない福島さんがいた。
しかし、福島さんの社会的立場はあの頃と比べて格段に変わっている。
いくつかの大学の非常勤講師をされ、その後、金沢大学の助教授、2001年からは東京大学先端科学技術センター准教授に。
そして、2008年10月に教授になられている。
福島さんは、日本で初めて大学へ入学した盲ろう者であり、世界で初めて常勤の大学教員となった盲ろう者だ。
ん、あらら、NHKのHPで番組名を確認したら、准教授・・・・・
なんと、本放送は2008年6月22日で、この「みんな生きていればいい」が、日本賞グランプリを受賞。そのアンコール放送だったのだ。
なので、6月時点での准教授になっていたのだと納得。
ドラマ『おふくろシリーズ11 おふくろの逆襲』では、盲ろう者である息子とのコミュニケーション手段として指点字を発見した母、その母子の絆が障害を乗り越えていく原点になる……というテーマのドラマだったんだけど、ノンフィクションドラマではないので、当然、ドラマ的に脚色された部分があり、純粋に福島智さんの自伝的ドラマとはいえなかった。
そんなドラマだったが、福島さんには取材にとても協力していただき、盲ろう者の集会にも何度か取材に行き、撮影時は指点字の指導で福島さんはわざわざ撮影現場にも来てくださった。
そのドラマ脚本を書くに当たって、大きな心残りは、お母様にお会いしないままだったこと。
深夜のテレビの画面に福島さんと並んで映っていたお母様は、とても若々しく、息子さん同様にとても生き生きとお話しなさっていた。
この課外授業で、福島さんが子供たちに伝えたかったことは……
人間にとって大切なのはコミュニケーション
そして
みんな生きていればいい
ということ。
今、私もしみじみ思っている。
生きていることにわざわざ価値を見いだそうとしなくていい。
生きていること自体に価値があるのだから。
業田良家さんのコミック『祝福屋福助』の中の言葉だけど。
ということで、福島さんの今後のご活躍、お祈りしています。
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