ブログ・HPでの法人名の明示に関して
本年後半、ブログの記事を書くに当たって2回ほど法人名を明示するかどうか迷った記事がある。一つは11月25日の「ある金融詐欺事件の顛末」・「金融詐欺事件:被害者の心理と犯人野放しの実態」
詐欺団が使った株式会社名をフルネームで書くべきかどうか、一瞬、考え込んでしまった。
もし、まだこの詐欺団がその会社名「株式会社日光」で暗躍していたとすると、下手に会社名を出したことで、目を付けられて、(大袈裟かもしれないけれど)自分の身にどんな危害を加えられるかもしれない。相手は多分、マル暴系だろうし、命を狙われることさえあるかも。
しかし、悩んだ末に会社名をフルネームで書くことに決めた。
その理由はいくつかある。
★2006年3月頃 「株式会社日光」名でワンクリック詐欺をしていたらしい
★2006年11月~12月 知人が「株式会社日光」の上場株詐欺に遭う
★2006年12月16日以降 「株式会社日光」はアジトから逃げ出している
★2006年12月19日 「株式会社日光」の振込先銀行口座が凍結される
(同日警察に被害届提出している)
2006年に逃げ出した彼らが今も「株式会社日光」名で詐欺を働いているとは思えない。
もし詐欺を働いているとしても別名を使っているはずで、この会社名を出しても彼らには痛くも痒くもないだろう。
そして、フルネームを出すことのメリットは
☆同じ詐欺に遭った被害者と情報交換できる
☆今、詐欺に遭いかけている人の参考になる
(彼らが会社住所として使っていた新宿のレンタル私書箱名は、何度検索しても
ネット上では一件もヒットせず、実際にその住所に確認に行くまでレンタル私書
箱とは分からなかった。地方在住の人にはその確認のしようがない)
上記のような理由で、私は会社名を明示することを選んだ。もう一つは先に書いた高校の件だ。
この記事も高校名を明示するかどうか迷った。
一部伏せ字にするという選択肢もあった。
しかし、この高校は過去、何度も教職員と学校側の係争に関して朝日新聞や東京新聞などのメディアで高校の実名を出して報道されている。
その内容はネットで検索すれば誰でも読めるし、いまさら伏せ字にしても意味がないと思った。
一部教師と学校側の労使対立で、生徒に補習や部活の制限という形でしわ寄せが来るのはおかしいのではないか?
そんな第三者の客観的な見方をブログ記事にすることで、私なりに問題提起をし、今後、生徒たちがより有意義な高校生活が送れるようとの願いを込めて、高校名を明示して記事を書いた。
「自分の学校の批判を書かれて在校生たちが傷つくではないか」
そんな意見もある。
しかし、大人たちが一時的に子供たちの目と耳を塞いだところで、ネットで検索すれば自分たちの学校がどうなっているのか、他の学校とどう違うのか、どんな問題を抱えているのか子供たちは容易に知ることが出来る。
もし、子供たちから疑問の声が上がった時、学校側は子供たちが納得するようきちんと答えてあげて欲しいと願う。
長年、ネットストーカーと言われる人物と係わってきた私としては、ネット上での実名記事に関して、そのリスクは承知の上だ。
ところで、個人の私的ブログに関して、今年2月に画期的な判決が出ている。
ネット中傷に無罪判決 『確実な根拠、個人は不要』東京地裁(東京新聞)
インターネットのホームページ(HP)でラーメン店のフランチャイズ運営会社を中傷する書き込みをしたとして、名誉棄損の罪に問われた会社員橋爪研吾被告(36)の判決公判が二十九日、東京地裁で開かれた。波床昌則裁判長は「ネットの個人利用者に要求される程度の情報収集をした上で書き込んだ。直ちに名誉棄損罪に問うことは相当でない」として、無罪(求刑罰金三十万円)を言い渡した。
判決は、個人利用者がネット上で表現行為をする場合の名誉棄損について「主に公益を図る目的ならば、(メディアとは異なり)確実な資料や根拠に基づかなくても、その事実が真実だと誤って信じた場合には罪に問われない」との初めての基準を提示。その効果として「自己検閲により委縮することなく、憲法二一条(表現の自由)が確保される」と示した。
弁護人によると、ネットをめぐる名誉棄損事件での無罪判決は初めて。ネット社会の現実を見据えた判断といえ、今後の司法判断や社会活動に大きな影響を与えるとみられる。
波床裁判長は「被告による書き込みは、重要部分が真実であったとは証明されていない」と認定。メディア報道なら有罪になる可能性を指摘した。
その上で、判決は(1)ネット利用者は相互に送受信でき、書き込みに対して被害者は反論できた(2)メディアや専門家が従来の媒体を使った表現とは対照的に、個人がネット上で発信した情報の信頼性は一般的に低いと受け止められている(3)現代社会では(個人が)公共の利害に関する事実について真実性を立証するのは困難-などと指摘した。
今回の書き込みに対し、フランチャイズ運営会社側が二〇〇三年に橋爪被告を相手取り起こした民事訴訟では、〇五年に同被告の敗訴が最高裁で確定していた。
橋爪被告は〇二年十-十一月の間、被告が開設したHP上で、飲食店「ニンニクげんこつラーメン花月」をフランチャイズ運営する会社について、カルト集団と関係があると中傷する内容の文章を書き込んだとして在宅起訴された。判決は、同集団と会社の関係について「緊密な関係にあるとは認められない」とした。
東京地検・渡辺恵一次席検事の話 判決内容を子細に検討し、適切に対応したい。
■『表現の自由』強く意識
解説
インターネット上の書き込みについて名誉棄損罪を認めなかった二十九日の東京地裁判決は、ネット上の表現行為が法律に抵触する場合の基準について、メディアと個人利用者を峻別(しゅんべつ)し、メディアに比べて個人の責任は緩和される、との判断を示した。
司法はこれまで(1)公益目的(2)確実な資料や根拠に基づくこと(3)その事実が真実だと信じるだけの理由-の三点がなければ有罪としてきた。これは発信者がメディアの場合が前提で、今回の判決は(2)がなくても「個人に求められる水準を満たす調査」をしていれば罪に問われないと判断した。
特筆すべきは、判決が、憲法が保障する「表現の自由」に踏み込んだ点だ。責任の緩和がなければ、個人は訴訟の被告になったりすることを恐れ、言論活動が鈍ることに言及、「自己検閲による委縮」を懸念した。
情報の発信者の多くがメディアに限られていた時代とは異なり、ネット社会は誰でも自由に発信できるようになった。一方、匿名性に隠された過激な中傷は、メディアによる批判以上に人を傷つけることがある。
責任の緩和と言っても、好き放題に書くことが許されるわけではない。それを許せば個人がネットで発信した情報の信頼性を低下させることになり、法規制につながる恐れがある。
今後、判決が司法の場で追認されていくか注目されるが、ネット社会に生きる市民としての自覚が一人一人に求められている。
ネット社会においては誰もが被告になる可能性がある。
特に個人名や法人名を特定して批評・批判を書く場合はそれなりの覚悟が必要だ。
ブログ「宗教&カルト・ウォッチ」 の藤倉氏によると
web上で情報発信をする個人が今回の判決から得られる教訓は、こういうことかなと思います。
(1) 揶揄表現をするにしても、「公益目的」という大枠から外れない程度にする。
(2) 自分にとって可能な限りの事実確認作業をした上で書く。
(3) 一方的な挑発・揶揄表現は避ける。
(4) 妨害・報復に屈しない。
以上を注意点としてあげている。
私のブログ記事に関しては、それら注意点から外れてはいないつもりなんだけど……。
ところで、上記判決に対して原告は控訴。来年1月末に判決が下されるそう。
ネットトラブルの一つとして以前から関心のあったこの事件、都合がつけば傍聴に行ってみたい。
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