「日本映画大学」2011年春 開校予定
日本初の映画専門単科大学「日本映画大学」が2011年に開校予定だそうです。
(引用文の太字は管理人)
国内初の“映像単科大学”、来年3月に申請へ 09年1月29日(読売新聞)
川崎市麻生区で廃校となる小学校を活用、映像関連では国内初の単科大学「日本映画大学」を開校させる準備が始まる。
同区で専門学校「日本映画学校」を運営する学校法人「神奈川映像学園」が廃校の校舎などを約1億2800万円で購入、約1万7000平方メートルの敷地を月約140万円で賃借する契約について覚書を3月に同市と交わし、2011年春の開校を目指す。
同法人は「映画人を育成し、映画の保存や撮影技術などの研究機関としての役割を果たしたい」としている。
中略
同法人の構想では、大学には「映画学部映画学科」を設置。白山小の3階建て校舎など約4300平方メートルの建物を中心とした敷地を「白山キャンパス」とし、現在の日本映画学校を、大学の開校後に「新百合ヶ丘駅前キャンパス」とする。
白山キャンパスでは、主に1、2年生向けの教養科目や語学の授業を行うほか、映画スタジオを新設。実際のセットで、照明技術や演出、演技指導などを受ける。
また、3、4年生は新百合ヶ丘駅前キャンパスで、映画に関する専門科目などを学び、映画に関する資料を保存・検索する技術開発や、古い作品を鮮明な画像でよみがえらせるデジタル技術の研究なども行う。
来年3月に文部科学省に大学設置の申請を行い、許可されれば、1学年の定員を約160人として、同10月以降に学生を募集する。
同法人などによると、映像関連学科を持つ大学や専門学校は、日本大芸術学部映画学科(定員140人)や立命館大映像学部映像学科(同150人)など全国に約90校あるが、単科大学が実現すれば国内初という。
中略
大学の母体となる日本映画学校は1975年、映画監督の今村昌平さんが映画界の若手育成を目指し、「横浜放送映画専門学院」として横浜市西区に開校。86年に現在地に移転し、名称を日本映画学校に。現在、2~3年制の映像科や俳優科に約520人の学生が学ぶ。卒業生には映画「フラガール」(2006年)の李相日監督やタレントの南原清隆さんらがいる。
その他関連記事
日本初の映画専門単科大学創立へ 11年4月開校目指す 09/1/28(朝日新聞)
「日本映画大学」、2011年春の開校目指す 09/1/29 (j-castニュース)
j-castニュースの記事には下記のような文章があります。
同広報部は「映画に関する技術を教える教育だけでなく、映画のアーカイブの研究も行っていく。
総合芸術の映画にとって、美術、音楽、演劇に対する教養は大事なことですし、その入り口を教えたい」とはやくも意気込んでいた。
先進諸国の中でも、日本は放送・映画に関するアーカイブの取り組みが遅れているけど、映画専門の単科大学で映画・放送文化を社会資源として保存・活用する研究が進むというのは大歓迎ですね。
ちなみに、龍谷大学では黒澤明監督作品のデジタルアーカイブ化が進められているよう。
2005/03/22
龍谷大学は、株式会社黒澤プロダクション(横浜市緑区・代表取締役:黒澤久雄氏)と共同し、黒澤明監督に関する貴重な写真や台本、創作ノートなどをデジタル・アーカイブ化することとなりました。
本学では、黒澤監督の作品を学術資料ととらえ、1つの映画作品として結実していく過程を、黒澤監督の自筆創作ノート、現場写真・映画スチール写真、そして完成稿としての映画台本などの資料を余さずデジタル化していきます。
黒澤作品を学術資料として教育の場で活用すると共に、新しい知的財産として位置づけていくことを目指します。
アーカイブ化をするのは、映画作品のスチール写真や撮影現場での黒澤監督のほか、幼少期から晩年までのプライベート写真など約4200枚、映画化されていない約20作を含む約70タイトルの台本、作品に関するノートや所感を記したノート約40冊や直筆のメモ類約1000枚など。
文部科学省学術フロンティア推進事業として2001年に採択され、シルクロードの仏教壁画復元などに実績のある「古典籍デジタルアーカイブ研究センター」の岡田至弘・理工学部教授が中心となりデジタル保存を進めます。
龍谷大学では、世界的にも貴重な黒澤明監督のコンテンツをデジタルアーカイブ化で現状のままで保存すると同時に、学術資料として教育の場で活用する予定です。
さらに、これらのデジタルコンテンツを活用することで、次世代映画人の育成にも寄与できるものと考えております。
なお、デジタル化したコンテンツは、日本SGI株式会社(東京都渋谷区・代表取締役社長・CEO:和泉法夫氏)が保管し、運営していきます。
関連サイト
龍谷大学理工学部情報メディア学科
映画人の個人資料としては完璧に近いアーカイブ化ではないでしょうか。
日本脚本アーカイブズでは日本で放送・公開された、すべての脚本・台本のデジタル化と同時に現物保存にも力を入れています。
そして、日本脚本アーカイブズのデジタル化は東大大学院との共同研究が動き始めたところ。
ところで、先日、ある映画関連企業に取材に行ったところ、その企業は自社制作の作品に関してはすべてデジタル化して保存しているとのこと。デジタル化のためのシステム開発費を聞いてびっくりしました。億の単位です……
過去の自社作品を会社の資産として大切に保存・活用しようとするその姿勢、素晴らしいです。
将来的には大学や企業、図書館、資料館など日本全国の放送・映画デジタルアーカイブ機関とネットで繋がれば、他の先進諸国にもひけをとらない日本の放送・映画デジタルアーカイブズ・ネットワークが出来上がります。
その日が早く来ますよう……。
おまけ
こんな大学もあったのね(笑)
東映映画大学が発足!略して“トーダイ”校長には俳優の石橋蓮司
2008年10月2日(シネマトゥデイ)
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