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2009.10.16

ギリヤーク尼ケ崎:青空舞踊公演

遅ればせながらのUPです。

10月12日(月・体育の日)
1時間前には到着しているつもりが、西新宿に着いたのが開演直前の午後2時少し前。
とりあえず、車をセンタービルの駐車場に入れてペンタクックスギャラリーの大坂忠さんの写真展目指して駆け上る。

で、大阪さんにご挨拶だけ済ませて、隣の三井ビルの広場へ走る。



広場はもう観客で埋まっていた。人を掻き分けてなんとか写真の撮れそうな位置を確保。

だが、開演時間が過ぎても始まらない。
10分を過ぎた頃に文化庁芸術祭関係らしい数人の人たちが着席。
それでも、ギリヤークさんは登場せず・・・。

どうやらテレビのインタビューを受けており、それが長引いているらしい。



開演直前の、最も精神集中の必要な時間にインタビュー?!
なに考えとんじゃ、テレビ局は!(怒)


20分を過ぎて、ようやくギリヤークさん登場。

(写真クリックで拡大します)

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登場したその瞬間から、“芸” はもう始まっている。

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衣裳を着、メークをし、“役” に、そして “自分の世界” に入り込んでいく。

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『じょんがら一代』
気合を入れてラジカセのボタンを押す。この動作もパフォーマンスの一つ。

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次は『念力』

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最後は『念仏じょんがら』
『念力』と『念仏じょんがら』の間に『よされ節』があって、バラの花一本口にくわえたギリヤークさんが、観客を舞台に引き込んでみんなで踊る、という楽しい演目もあったんだけど、ちょうどデジカメの電池が切れて、携帯のカメラで撮ろうとした時にはもう終わってました。


すべての公演が終わった直後、最初から隣で見ていたダンディな老人が「すごいですねぇ」と声をかけてきた。

ギリヤークさんの公演を見て、その内心の高ぶりを声に出さずにはいられない・・・その気持ちは100%分かるので、しばしその男性と言葉を交わす。
その人は、ギリヤークさんより年上なのだろうか年下なのだろうか?
「パワーをもらいました」と興奮されていた。


ギリヤークさんにご挨拶を・・・と見ると、ギリヤークさんは黒山の人だかりの中に埋もれていた。



「すごい人がいる」とフリージャズピアニストの友人に連れられて、渋谷のハチ公前で踊るギリヤークさんとお会いしてからもう28年。
ちょうどシナリオセンターでシナリオの勉強を始めた頃だ。

自叙伝『鬼の踊り-大道芸人の記録』を読み、20枚シナリオにギリヤークさんのことを書いた。作品を提出したゼミで初めて人から自分のシナリオを褒められ、その意味でもギリヤークさんとの出会いは忘れられないものとなっていた。

その頃は、ギリヤークさんの踊りを奇異な眼で見る人も多く、路上公演は警官からも追い立てられで、公演後は熱烈なファン数人が残り、ギリヤークさんを囲んで飲んだりということもできた。


現在の二重三重の人垣に囲まれたギリヤークさんを見ていると隔世の感。


バカ正直に、無骨に、ただひたすら自分の道を究めようとするギリヤークさんの生き様に感動・共感する人たちがこれほど増えたのだと思うと、心から嬉しい。






しかし・・・・・・・・・・




数年ぶりに見たギリヤークさんの街頭公演、私は今までと違った反応をしていた。

まず、地面にチョークで舞台の円を描く・・・観客と舞台の境はチョークの白い線一本だった。けど、この動作がなくなっている。いつから? ちょっと寂しい気がした。


それから、昨年、心臓にペースメーカーを入れたと分かっているだけに、あまりに激しい動きはしないよう、無事に踊りを終えるよう祈り続けた。


ギリヤークさんの指が激しく震えているのも気になった。最初は緊張のせい? 寒さのせい? などと思っていたが、病気のせいらしい。

そして、ギリヤークさんが飛び跳ねるたびに、私は口の中で何度も小さな悲鳴をあげていた。無理しないで・・・無理しちゃダメ・・・と。


改めて考えてみると、ギリヤークさんは昭和5年生まれ。なんと私の母より1才下なだけ。


投げ銭だけを収入源とするギリヤークさんの生活は弟さんとお母さんに支えられてきた。
しかし、弟さんが先に逝き、お母さんも先に逝ってしまった。


『念仏じょんがら』で「ナムアミダー!」と叫ぶギリヤークさん、そして最後の最後に力尽き息絶える瞬間、人としての最後の絶叫は「かあさーーーーーんっ!」


母の胎内から始まり、母の元へ帰っていく魂・・・・・・・・。


芸術としての表現と同時に、ギリヤークさん個人としては踊り尽きてそのままお母さんの元に行く覚悟をしているのではないだろうか。毎回毎回踊るたびに。



命を削り、命をかけた踊り・・・・・・・・・


もういい、もういいよ、踊らなくても。
そう叫んでいる私がいる。

しかし、ギリヤークさんはこれからも踊り続けるんだろうな。
踊りの中で息絶える、今までになくその覚悟を感じた公演だった。



当日の様子は下記からもどうぞ。

ギリヤーク尼ヶ崎.com  http://gilyakamagasaki.com/

大道芸とピエロのホームページ  http://daido-gei.jp/index.php

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