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2009.10.02

『ママの遺したラヴソング』&『ママの想い出』

母物二本、借りていたDVDをようやく観る。

09a_love_song_for_bobby_long2 『ママの遺したラヴソング』
製作 2004年
ジャンル ヒューマンドラマ
監督&脚本  シェイニー・ゲイベル
原作  ロナルド・イヴァレット・カップス

出演  ジョン・トラヴォルタ 、スカーレット・ヨハンソン 、ガブリエル・マック 、デボラ・カーラ・アンガー 、デイン・ローデス


繊細に揺れ動く思春期の少女(18才)役のスカーレット・ヨハンソン、上手いです。
中年というか初老のジョン・トラヴォルタはちょっとショック。でも見事役にはまっている。

観終わった印象は悪くない。
しかし、なんか中途半端。


【メインキャラ設定】

◆パーシー(スカーレット・ヨハンソン)
 始まり:フロリダ州で母親に見捨てられたというトラウマに支配され、高校を中退して男と同棲中のパーシー。ジャンクフードばかり食べている。
  ↓
 母の訃報をほったらかしにしていた同棲相手に怒り、別れを告げる。
  ↓
 ルイジアナ州ニューオリンズの母の家へ。そこで、母の家に暮らす二人の男と出会う。
  ↓
 この男たちとの出会いによって変化していくパーシー。
 ◇ジャンクフードを食べるシーンがなくなる
 ◇自堕落だった彼女が家の手入れなどし始める
 ◇衣装も、ドレスなどに変化していく

 ※矛盾&疑問
  これほど母の愛に飢え、母を求めていた少女だけど、自分の父親に関しては一度も話が出てこない。これって不自然では?


◆ボビー・ロング(ジョン・トラヴォルタ)
 始まり:アル中の自堕落な中年男。
  ↓
 もと大学文学部教授で、作家の言葉を借りてしか自分を語れない男。
 T.S.エリオット、ジョルジュ・サンド、モリエール、ロバート・フロスト、ロバート・ブラウニング、アーサー・ミラー、マーク・トウェイン、ウィリアム・バロウズ、チャールズ・ディケンズなどなどの作家の言葉。
  ↓
 後半、ついに切れた弟子から“自分の言葉で喋れ”といわれる

 ※矛盾&疑問
  最初、このキャラ設定はさすがと思った。作家の言葉が次から次に出てきて、もと文学部教授というキャラを上手く表現している。

  しかし、ボビー・ロングの語られなかった過去が分かってくるにしたがって・・・彼も心に深い傷を持っていると分かる・・・他人(作家)の言葉や歌でしか自分を表現しようとしないということは相当心が病んでいる証のように見えてくる。

  この部分の追求と描写が弱い。
  弟子のローソン(ゲイブリエル・マック)によって、ボビーの不幸な過去が語られるが、その過去があまりにもありきたりの過去。ありきたりの過去でも、トラウマの深さは人それぞれなのでいいとは思うのだけれど、それにしてもいまいちボビーという男に人間性の深みが感じられない。

  たとえ過去の自分の不幸に囚われ、自責・自虐の人生を送っていたとしても、新しく心引かれ、寝た女性が妊娠したとしたら、誰の子なのか気にならなかったのだろうか?

◆ローソン(ゲイブリエル・マック)
 なぜここまでボビーの言いなりになっているのかよくわからない。

 ボビーとの関係をパーシーに語ることでボビーとローソンの関係が分かってくる。

 ローソンはボビーの優秀な生徒であり、ローソン自身、文学部教授のボビーに憧れていた。
  ↓
 ローソンとボビーは親しくなり、ボビーはローソンの若くて刺激的な仲間たちと過ごすことが多くなる。その挙句、ボビーは浮気をして離婚。可愛がっていた幼い息子と定期的に会っていた。が、そんなある日、ボビーはローソンに引き止められて息子との面会に遅れてしまう。そのせいである不幸に襲われる。
  ↓
 ローソンはボビーの不幸はすべて自分のせいだと自分を責めている。
 そしてボビーの言いなりにボビーの自伝を書くことに人生を費やしている。
 二人の関係はいつまで経っても教授と生徒の関係。
  ↓
 ローソンはボビーの下を去って、ジョージアナ(デボラ・アンガー)と暮らそうとする。しかし、ローソンとジョージアナとの間に愛はないとボビーからズバリ指摘されされてしまう。
  ↓
 惹かれ始めているローソンとパーシー。
  ↓
 深く傷ついているはずのジョージアナだが、現実を受け止めて(多分?)、ローソンにもパーシーにもボビーにも優しい・・・・・・

 ※疑問
 ローソン、そしてジョージアナの苦悩や葛藤がどこか中途半端で曖昧にされている。
 なので、この二人の在り方もどこかご都合主義に感じてしまう。
 シナリオには描かれていたが、編集で切られたとしか思えない。



【ストーリー展開】
 分かりやすい、心温まるストーリーなんだけど、ところどころ誤魔化して曖昧にしてストーリーを進めているところが気になってしまう。

 ◆3人で暮らすことになるが、ローソン(ゲイブリエル・マック)はボビーに「(パーシーに)あのことを秘密にしていていいのか」と気にする。
  
  いかにも重大な秘密のように語らせるけど、見ている側にはそれほど気を持たせるような重大な秘密とは思えない・・・・・。
  もしかして、まだ語られていないすごい秘密でもあるのかと期待して観たが、結局、すでに映画の中で語られていることをパーシーだけが知らないというだけの秘密。

  かつてのパーシーの同棲相手が乗り込んできて、彼女はやっとある事実を知って、一挙にクライマックスへと向かうのだが、観客はこの秘密のことをすでに知っているために、パーシーが受けたほどの衝撃は受けない。

  映画全体がボヤけて感じるのは、そのせいだろうか・・・・・・・・・・・・・・・。

 ◆映画の起の部分でパーシーは母の形見の入った箱を見る。しかし、その箱をほったらかしにして、ラストのラストになって箱の中を見る。そこには観客にも明かされていない、新しい事実が入っていた・・・・。んだけれど、全体を見ていれば予想のつく展開。

  このラストのために、ご都合的に最初、箱をほったらかしにさせたようで、この展開もなんだかスッキリしない。

 ◆全体的にご都合主義的な展開が気にはなるけど、ただ、パーシーの感情の流れは分かりやすく描かれている。

  自分は母親に放棄(ネグレクト)された人間だと思い込み、自分の存在を自己肯定できない少女(かなり荒んでいる)
    ↓
  母親の死を知り、故郷に飛んでいく(内心は母との繋がりを求めている)
    ↓
  母の知り合いだという二人の男たちと同居する羽目になる(一度は反発するが、戻ってくる)
    ↓
  二人の男、そして周囲の人々によって、それまで知らなかった母の姿を知っていく。
    ↓
  母がパーシーを愛していたこと、パーシーの名前にも母の愛がこもっていることを知る。(ただ、なぜ幼いパーシーを祖母に預けたのか、その事情は不明のまま)
    ↓
  少しづつ変化する少女、自分の夢を語る(少しづつ自己肯定していく)
    ↓
  男二人は少女の夢をかなえてやるために、高校復学に尽力する。
    ↓
  荒んだ少女から普通の年頃の少女に変化していくパーシー(自分が母から愛されていたことや男二人との心の交流の中から、自分の存在意義と自分の居場所を見つけて安定していく)
    ↓
  血尿の出ているボビーの体を心配し、ボビーとの関係で荒れているローソンの気持ちを宥め・・・自分以外の人間の心配をし、彼らのアル中を治そうとするパーシー。(立場の逆転、パーシーの成長)
    ↓
  一つのファミリーのように気持ちが近づいていく3人。
    ↓
  そんな時、もと同棲相手がパーシー宛の弁護士の手紙を持って現れる。そこで、男二人がある事実を隠していたことを知り、激怒。パーシーは二人を追い出し、家を売ろうとする。
    ↓
  やっと母の遺品を整理する気になるパーシー。その遺品の中に、誰も知らなかったある事実が書かれており激しいショックを受けるパーシー。
  母は遺言で自分の死後、1年間だけ二人の男にこの家に住むことを許していた。そんな母の遺言の理由=遺志=贈り物にやっと気がつくパーシー、そして男たち。



分かりやすいストーリーだし、役者さんもみんないいのに、絶賛できないのはどこか、なにかを端折っているからのような気がする。
シナリオがもともとそうなのか、編集でそうなったのか・・・・・ちょっと残念。

09mamanoomoide2_2『ママの想い出』
製作 1948年アメリカ  マズルカ形式
原題 I REMEMBER MAMA
監督 ジョージ・スティーヴンス
原作 キャスリン・フォーブス 小説「ママの銀行預金」
脚本 ウィット・ボディーン
出演 アイリーン・ダン、バーバラ・ベル・ゲデス、オスカー・ホモルカ

1910年のサンフランシスコ。ノルウェー移住の大工の一家。両親と4人の子供たちのハンソン一家は、貧しいながらも幸せに暮していた。毎週土曜日の晩にパパの稼ぎをみんなで勘定するのだが、いつもギリギリ・・・ママは銀行にかなくても済んだというのが口癖だった・・・。

口うるさいオバたちからも頼りにされ、いつも一家の太陽であるママ。
ママの励ましで小説家としてデビューする長女が、そんな母親の思い出を語る形で展開していく心温まるホームドラマ。

 

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