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2010.04.02

転載:「向田さんの『胃袋』のことなど」

■6■ ライターズ・アイ(10) 「向田さんの『胃袋』のことなど」:津川 泉

 4月6日(火)から江戸東京博物館で行われる脚本展には、古くは大正期の珍しい脚本から、最新の技術を駆使した「坂の上の雲」のVFX(視覚効果写真)による新橋駅頭場面まで、脚本以外の展示も含め、いくつかの目玉があります。

 これまでの脚本展にはない特色としては脚本・台本専門の印刷会社三交社の企画協力による脚本・台本のできるまでのプロセス展示があります。
 脚本・台本をヘリコプターで撮影現場まで運んだ話を始め、森繁さんや浜木綿子さんのエピソードを交えたパネル展示はわれわれ「業界」の人間でも知らないエピソードが満載です。

 50年ぶりに発掘された向田邦子のデビュー作「ダイヤル110番」5冊も見物のひとつです。
 『向田邦子シナリオ集VI』(岩波現代文庫)には発掘のエピソードと写真が掲載されていますが、展示としては本邦初公開となります。
 通常は直接脚本・台本に書き込まれる「カット割り」もコンテ台本として印刷されているのは生放送ゆえの措置だったのでしょうか?
 脚本・台本に挟み込まれていたセットの青図が50年たった今でも鮮やかな色合いを残していたのも驚きでした。

 発掘というほど大げさではありませんが、79年の「放送作家ニュース」に向田さんが寄稿した「胃袋」は日本脚本家連盟事務局の明珍さんに「発掘」していただきました。
 「もしかすると生原稿があるかも」と当時原稿を取りにうかがった彼に心当たりを探していただきましたが、残念ながら出てきませんでした。

 「胃袋」全文は脚本展入り口にパネルとして掲げてあります。なぜ入り口に掲げたか? 
 それは会場に直接いらして読んでいただくのが一番です。

 かごしま近代文学館所蔵の「阿修羅のごとく」構想メモ。そのコピーも展示することになりました。
 同館には向田さんのほとんどの蔵書と彼女が蒐めた貴重な書画骨董が収められています。
 当初江戸博に展示予定だった向田さんの歳時記と歌謡大全集、これもあるかもしれないと思い訪ねました。残念なことにこれは見つかりませんでした。
 なぜ歳時記と歌謡大全集か? これはホンを書く上での向田さんのアンチョコだったと亡くなった久世光彦さんが『触れもせで』(講談社)に書いていたからでした。

 ちなみに、かごしま近代文学館常設の向田邦子コーナーはコーナーから出世して大きな部屋としてリニューアルオープンされるそうです。その時期については直接館にお問い合わせください。

 ※参考:かごしま近代文学館
  http://www.kinmeru.or.jp/literature/index.htm

                 (日本脚本アーカイブズ・メールマガジン11号より転載)


※「日本脚本アーカイブズ・メールマガジン」では「太陽にほえろ!」など、寄贈された脚本・台本についてのエピソードなどが連載されています。
 このホームページの左上から登録(無料)できますので、ぜひ読んでください!

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