ポケモンとドラゴンボールZと小田原文学館
最近のまとめUP-パート(1)です。
まずは4月14日(水)、小田原文学館取材のために日本脚本アーカイブズ委員のIさんと小田急ロマンスカーで小田原へ。朝のロマンスカーは結構空いていて、快適。
ちょうどお昼に小田原着。
駅前に小田原在住の戸田博史氏が待っていてくれて、氏の車でまずはお昼を食べに。
戸田氏とは初対面。
「魔法のプリンセス ミンキーモモ」や「北斗の拳」「ドラゴンボールZ 」などの脚本家です。
案内してくださったのは相模湾を見下ろす「そば季寄 秀作久」という和風レストラン。
小田原丼をいただきながら、脚本アーカイブズについてのご意見をうかがう。
日本放送作家協会&日本脚本家連盟には1000名余の会員がいるが、脚本アーカイブズに関しては様々な考え方・意見があるということは承知している。
前に進むためには違う角度からの意見に耳を傾けることも大切だと思う。
※小田原丼 → プリプリの新鮮なお刺身丼、フワフワの自家製さつま揚げ、こしのある手打ち蕎麦・・・本当に美味しかったです。
いよいよ、取材目的地である小田原文学館へ。
3月19日~4月18日 小田原文学館特別展「首藤剛志展・小田原ゆかりのシナリオライター」開催中。
首藤剛志氏は『まんがはじめてものがたり』や『魔法のプリンセス ミンキーモモ』『戦国魔神ゴーショーグン』そして『「ポケモン』などの脚本家で、第1回日本アニメ大賞脚本賞を受賞している大ベテラン。
1988年から2005年まで小田原市内に居住し、脚本や資料など約1600点を小田原市に寄贈。今回は、その一部を公開し、首藤氏の歩みを振り返る特別展。
現在は都内に在住だが、この日はわざわざ文学館まで来て下さり、展示されている脚本、企画書や絵コンテ、雑誌やセル画など一つ一つ丁寧に説明してくださった。
その後、首藤氏からも脚本アーカイブズに関してのご意見をうかがう。
首藤氏のように、脚本家・放送作家がそれぞれ縁の地の図書館などに自作脚本・台本などを寄贈すれば、今回のように町興しのイベントなどに繋がる・・・
確かに市川森一氏は出身地の諫早図書館に、向田邦子さんは縁の地、鹿児島へ、岩間芳樹氏は世田谷文学館に・・・などと脚本や資料が寄贈されて大切に保管、展示されている。
何もかも、全ての脚本・台本を日本脚本アーカイブズに集めよう・・・というのではなく、すでに各地で保存管理されている脚本・台本に関してはネットワークで繋いで、知りたい人がどこにどんな脚本・台本があるということが判ればいいようにしておけばいいと思う。
ただ、いくつか問題がある。
その一つは、脚本・台本は現在の図書館法では“書籍”とみなされておらず、図書館によっては受け入れてもらえないケースも出てくるかもしれない。
脚本アーカイブズが最も整備されているのはフランスのINA(フランス国立視聴覚研究所)だが、フランスでは脚本・台本の納本制度が法律で決められており、膨大な数の脚本・台本が国によって保存・管理されている。
廃棄・散逸の恐れのある過去全ての脚本・台本を日本放送作家協会の一委員会で収集・保存・管理するのは無茶というか無謀な話で、理想としてはINAのように国が収集・保存・管理してくれるのが一番望ましい。
しかし、現実問題、理想論を語っている間にも、図書館などに受け入れられない行き場のない脚本・台本たちが廃棄・散逸しているわけで、日本脚本アーカイブズは今のところ、そんな運命の脚本・台本たちの受け入れ先として活動しているわけです。
首藤氏のご意見をうかがいながら、まだまた脚本アーカイブズがクリアしていかなければならない課題はあるなと感じたものです。
海に近い城下町・小田原。
その町並みはなんとなく九州の故郷の城下町と似ているような懐かしさがありました。
【参考】
第16回納本制度審議会議事録
日 時: 平成21年7月23日(木)午後2時~5時10分
場 所: 国立国会図書館本館4階特別会議室
抜粋
委 員: (前略)また、確認までにお伺いするのですが、つい先日伺った件で、
日本脚本アーカイブズというプロジェクトがございまして、いわゆる放送台本
などを放送作家の方々が中心になって、何とか収集・保存・公開しようとする
プロジェクトのようですが、ヒト・カネ・著作権という三大障害に阻まれて、どう
にも動きがとれない、集めることもままならなければ散逸もおそろしい、公開
も目途がたたないというお話でした。
こういった放送台本については出版物とは見なしえないので、現行法の下で
は、国会図書館での収集・保存対象とはなり得ないという理解でよろしいので
しょうか。
館 長: 個人としては大変興味があり、大いに関心を持っているのですが、理想的
に言えば、脚本とテレビレコード、映画レコードがペアになって収蔵されて利用
されるのが理想だと思っておりますので、国会図書館がやるのがよいのか、
フィルムセンターがやるのがよいのか、あるいはフランスのように、あらゆる
放映されたものを全部レコードするような新しい機関を作って、そこが脚本と
共に保存するのがよいのか、非常に大きな問題ではないかと思っております。
関心がないわけではございませんが、色々な問題もございまして、簡単には
イエスということはできませんので、東京大学の吉見先生などと今後議論を
しながら、収まるべきところを探していこうかと思っております。
| 固定リンク
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- My Favorite car (2023.01.09)
- ラブ&セントもお正月(2023.01.04)
- 明けまして、おめでとうございます。(2023.01.03)
- 今年は読む、書くをもっと!(2021.01.01)
- 新しい年、明けました!(2021.01.01)
「日本脚本アーカイブズ」カテゴリの記事
- 脚本アーカイブズ・公開記念シンポジウムのご案内(2014.02.08)
- 故・市川森一氏追悼 シンポジウム企画 『失われた脚本・台本を求めて――文化リサイクルの意義』開催のお知らせ(2012.01.23)
- 奥山コーシンちゃんねる『台本にない台本』第5・6・7回(2012.01.14)
- 奥山コーシンちゃんねる『台本にない台本』第4回(2011.11.07)
- メルマガ27号発行(2011.10.06)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント