映画『母なき子』:南田洋子さん、22歳の溌剌とした美しさ!
『母なき子』
製作 日活
製作年 1955年(昭和30年)(89分・35mm・白黒)
監督: 堀池清
脚本: 新藤兼人、高橋二三
出演:南田洋子、 三島耕、亀谷雅啓
写真:昭和30年日活移籍第一作『沙羅の花の峠』で主役を演じ、思春期女優のイメージを一転させた頃の南田洋子さん。『母なき子』は移籍第二作目か?
(※以下ネタバレあり)
【ストーリー】
今は亡き関西の浪曲師京丸の娘富子(南田洋子)は、むかし父の弟子だった安吉(清水一郎)の媒酌で、東京の自転車工場で働いている省二(三島耕)と結婚したが、まもなく良人には先妻との間に武(亀谷雅啓)という子供がいると判り、びっくりして大阪へ逃げ帰った。
ある日、アル・サロの女給で親友の光枝(東谷暎子)と働き口を相談していると、省二が死んだ通知に慌てて上京したところ、誰も武を引き取ろうとしないので富子が連れて帰るよりほかはなかった。
武の生母を探してやりたいと、富子は武と一緒に安吉の東京新芸術座に加わり地方巡業に出たが、鶴見で興業中、結婚詐欺で訴えられそうになった光枝が駆け込んだ。
その晩、些細なことで富子に叱られた武は表に飛び出し、杉本巡査(三橋達也)に送られて来た。親切な杉本巡査は婦警の前田友子(高田敏江)と相談して武に養子の口を見つけたが、富子は首を横に振った。
やがて武の生母の居所が判った。鈴代(利根はる恵)というその女は月賦販売の外交員で、金の亡者だという評判だった。
すったもんだの挙げ句、遺産つきの条件で鈴代は承知した。安吉の甥明(近藤宏)が、鈴代から月賦で買った電気洗濯機を質に入れて、金を工面してくれた。
富子は武をつれて鈴代のアパートへ出かけるが、急に思い直して引き返し、潮来巡業に参加した。
興業は大入りだったが、脱税が露見して安吉と明はブタ箱に入れられた。
富子はさきに一座をドロンした月之助(明智十三郎)と春菊(高友子)を、自分が辞めることで復座させてやり、鈴代の許へ出かけた。
やっと武を置き去りにして安吉の家に辿りついた富子が省二の写真に向かって、恨み言をいっていると思いがけなく武が帰って来た。
富子は武を抱きしめて、お父ちゃんのお墓参りに岩手へ出かけるのだった。
http://movie.goo.ne.jp/movies/p27506/comment.html より
【コメント】
東京国立近代美術館フィルムセンターにて上映。
昭和30年、当時22歳の南田洋子さんが夫の死によって、突然、前妻との子供を押し付けられて、右往左往しながらも、実母以上に子供と心を通い合わせるというシリアスな役を溌剌と演じています。
この翌年に『太陽の季節』(1956年:古川卓巳監督)、次の年に『幕末太陽傳』(1957年:川島雄三監督)で女優としての人気を不動にしました。
昭和30年頃の蒸気機関車や、大阪や東京の下町、そして、まだ浪曲が娯楽のひとつとして人々を楽しませていた頃の風景などがフィルムに焼き付けられています。
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