ロマンポルノとかAVとか・・・必然があればこだわりはないわけで。
映画『新・SとM劇場版』を観に行って、座席に座ってふと気がついた。
あらま、お客さんはほとんど男性?!
これから見る作品がエロティックサスペンス・・・いわゆるロマンポルノ系(←もう死語?)だということをすっかり忘れていた・・・。
上映後のトークショーが終わって、灯りのついた場内を見たら、女性も何人かはいたけど。
で、私が初めてロマンポルノを一人で観に行った時のことを思い出してしまった。
東京に転居して間もない頃、『夢野久作の少女地獄』が上映されていると知って、新宿の某映画館に期待に胸膨らませて一人で出かけた。
当時は夢野久作の小説の世界が大好きで『少女地獄』や『ドグラ・マグラ』など夢中で読んでおり、無条件に、かつ反射的に「絶対に見なくては!」と思ったわけ。
※夢野久作に加え、レイ・ブラッドベリや赤江瀑、倉橋由美子などを読みまくっていた時代です。
小さな劇場は満杯で、ようやく端の席を見つけて座ったのを記憶している。
周りはびっしり男性ばかり。
映画が始まって、ようやく、どうやらロマンポルノらしいと気がついた。
ギャッ・・・女一人できてしまった・・・と一瞬、ビビッたが、それでも夢野久作の世界がどのように映像化されているのかどうしても観たい!という欲望のほうが強くて、「しょうがない。だって、観たいんだもん!」と内心居直って、しっかり最後まで見た!
映画の感想とかは、もうほとんど記憶にないけど・・・・・
『夢野久作の少女地獄』(1977年)
出演:小川亜佐美・飛鳥裕子・桑山正一・三谷昇・絵沢萌子・江角英明
※画像は小説版。私が東京に転居したのは1981年なので、多分、映画はその年に観ているはず。
※画像は小説版。
小沼勝監督も脚本のガイラさんも、にっかつでは名作といわれている作品に多くかかわっておられるが、1988年にこのお二人と仕事をする機会を得た。
テレビの二時間ドラマで脚本家デビューした翌年、シナリオの勉強仲間だった知人の脚本家から「女性の視点が欲しいから」と声をかけてもらい脚本に参加させてもらったのが『箱の中の女2』だった。
『箱の中の女2』(1988年)
妻に裏切られて女性を信じられなくなってしまったペンションのオーナー。表の穏やかな顔とは裏腹に、実は客として訪れた人妻を復讐の対象とし、箱の中に監禁していた…。そんなある日、訪れた人妻を監禁するが彼女はそれまでの女たちとは何かが違っていた。どんなに陵辱されても夫への愛を捨てない女・・・。監禁する男と捕らわれの人妻のねじれた愛が交錯する猟奇ロマン。
この作品に取り掛かるについて、先ず思ったのは、テレビでは描かない、描けない部分の夫婦・男女の関係を描くのがロマンポルノであり、テレビ作品とは表裏の関係にある。
両方ともに変わらないのは“人間を描くこと”。
妻に裏切られた男の悲しみや怒り、一方、暴力で体を犯されても心(愛)までは奪い取ることはできない女の悲痛さ・・・そんな男女が行き着いた愛の形とは?
脚本はそのテーマを外さないように作っていった。
その後、AVの脚本も何本か書いた。
ロマンポルノでもAVでも、基本は人間を描くこと。その見せ方として濡れ場が多いか、少ないか、また過激かどうかなどの映像表現がある。
確かに、劣情を煽るのを第一にした作品もあることは確かだけど、ロマンポルノに名作といわれる作品が多いのは人間をきちんと描いた作品が多いからだと思う。
そういうわけで、一見、ポルノ作品といえども女が見ても、笑ったり、唸ったり、感動できる作品があることを知っているので、観たい作品は一人でも観に行くっ!
そういえば、以前「女による、女のためのポルノ作品」作るべきじゃなかろうかなどと女たちで話し合ったこともありました。
| 固定リンク
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- 今年は読む、書くをもっと!(2021.01.01)
- アニエス・ヴァルダ監督 ドキュメンタリー映画『顔たち、ところどころ』(2020.07.18)
- 『仮面/ペルソナPERSONA』(1966)と『魔術師』(1958)(2020.03.13)
- 名優マックス・フォン・シドーさん(2020.03.13)
- 映画『ある少年の告白』(2020.03.03)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント