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2013.08.28

『原作と原案』・・・“原案”には著作権がないって本当?

前記事『原作と同じじゃなきゃダメですか?』に書いたように、原作者・脚本家はそれぞれ著作権法によってその著作権が認められている。

一方、原案には著作権がないのか?

個人的認識では「原案には著作権がない」と思っていた。

そこで確認のために改めて調べてみた。

 
 ■ 「原案」の法律上の捉え方

 国によって多少の相違点はあるものの、日本に限らず、諸外国においても単なる
 アイデアは著作物ではないと解されている。
 これは、アイデア段階では具体性や明確性に欠けるため、かかる具体性のな
 いものに著作権という排他的な権利を認めてしまうのは「文化の発展」という観点
 から望ましくない、という考えに基づく。
 なお、「原案」は著作物ではないから対価は発生せず、「原作」は著作物だから対価が発生する、という理解をしているプロデューサーを見かけることがあるが、これは誤りである。
 原案であっても著作物として経済的価値を有するものも存在する。
 映画製作の実務上、原案とクレジットするか、原作とクレジットするかの問題
 と、権利処理が必要か否か対価を支払うべきか否かの問題は別個のもの
 であるから、書面化されて具体性、明確性のあるアイデアやコンセプトには、
 権利処理をすべきか否かの一応の検討を行う必要がある。
 
                平成22年度コンテンツ産業人材発掘・育成事業
                     (有望若手映像等人材海外研修事業)
                   プロデューサーカリキュラム  企画開発契約
                   E&R総合法律会計事務所 弁護士 四宮隆史
                           主催:経済産業省 UNIJAPAN
 

具体性や明確性に欠けるアイデア段階の「原案」は著作物とはいえない。

しかし、具体性、明確性があるアイデアやコンセプトを文書化した「原案」の場合、著作物として経済的価値のあるものも存在する。

なので「原案」といっても、その内容によって対価が発生したり、権利処理が必要な場合もあるということ。

《ケース1 アニメの場合》

著作権は「表現」を保護するものでアイデアは保護されない。
したがって、「原作」はともかく、世界観やキャラクターイメージは保護されない。
「原作」や実際の絵としての「表現」にするか、また提案の前に「勝手に使わない、公開しない」という秘密保持契約を結んでおくといいとのこと。


《ケース2 土屋アンナさん降板騒動の場合》


制作発表時・・原作:濱田朝美著「日本一下手な歌手」(光文社刊)。が、主な出演者とスタッフでは原案 浜田 朝美「日本一下手な歌手 」(光文社刊)となっていた。
http://www.value-press.com/pressrelease/111167

その後、【お詫びと訂正】が出されて、原案:濱田朝美著「日本一ヘタな歌手」(光文社刊)と「原案」に統一されている。
http://www.value-press.com/pressrelease/111201

作・演出・制作の甲斐氏(制作の高橋氏は甲斐氏と同一人物)は「原作」ではなく「原案」にすれば著作物に当たらないので対価も著作権も関係ないと判断して「原案」に統一したのではないだろうか。


しかし、ラストやサブ人物などが原案と違うとはいえ、アイデアやコンセプトなど濱田朝美さんの著作に依拠している部分が多く、原案だから好きなようにしていいというのはちょっと違うのではないかと思う。

この件で、先ず最初に変だなと思ったのは、出版社の立場。
濱田さんと甲斐氏を引き合わせたのは濱田さんの著作を担当した光文社の編集者であり、映像化や舞台化に際して両者の間を取り持つべき立場にあるはずなんだけど何やってたんだろう。

土屋アンナさんと彼女の所属事務所が甲斐氏が代表を務める制作会社から3026万円の損害賠償請求訴訟を東京地裁に起こされたわけだけど、この訴訟は著作者の濱田さんとは直接は関係ない。

しかし、土屋さんが稽古に参加しなかった理由として、制作会社の間で交わした出演契約書に瑕疵があったとした場合(著作権がクリアにされていないなど)、濱田さんと甲斐氏の間の契約がどうなっていたかが一つのポイントになるのではないかと思う。

詳細が分からないので、これ以上軽々に判断はできないが、原作か原案か、またそれぞれの権利のあり方などとても興味深いケースで、行方を見守っていきたい。


【原案についての個人的体験】
脚本家デビューする前は、その足がかりとして多数の企画書(プロット)を書いた。

そして、二時間ドラマのオリジナルの企画が通ってやっと脚本家デビューのチャンスが回ってきた。しかし、企画が通るとすぐに放映日が決まり、逆算して制作開始日が決まった。プロデューサーは制作期日の迫った脚本を新人に書かせるにはスケジュール的に厳しいと判断したようで、今回は「原案」扱いにさせて欲しいとのことだった。

私の書いた「原案」はプロの脚本家に回され、クレジットには「原案」として私の名前が。
次に通ったオリジナル企画で脚本家デビューできたわけだけど、初めてテレビに私の名前が出たのは「原案」でだった。

原案料はしっかり払ってくれました。(当時のプロット料金の5、6倍の金額だったような記憶が)

原案扱いされた作品は後にも先にもその一作品だけでした。


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