映画『さあ帰ろう、ペダルをこいで』(2008年ブルガリア)二人乗り自転車で亡命先のドイツからブルガリアの故郷に向かう、祖父と孫の心温まるロードムービー。
自転車関連の記事が続いているので、最近観た自転車の映画を1本。
孫・アレックスを心配してブルガリアからやってきた祖父バイ・ダン(ミキ・マノイロヴィッチ)の誘いで、アレックスはタンデム(二人乗り自転車)でヨーロッパ横断の旅へ出る。目指すは故郷ブルガリア!
東西冷戦の歴史に振り回され別々に暮らすことを余儀なくされた祖父と孫が、自転車旅行やボードゲーム「バックギャモン」を通じて絆を修復していくヒューマン・ドラマ。
【感想】
ブルガリアといえば先ず思い浮かぶのがヨーグルト、そしてバラ。
かつてブルガリアが共産圏の一国で、秘密警察(市民警察か)などもあり厳しく情報統制、思想統制されていたとは、この映画を見るまで知らなかった。
この映画の主役、祖父バイ・ダンは、若い頃、自転車競技で優勝して東ドイツに留学。ハンガリー動乱で学生運動に身を投じて、スターリン像を爆破した罪でブルガリアに強制送還されてしまい、15年も刑に服していたことなどが短いセリフの中で明らかにされる。
バイ・ダンはバックギャモンの名手でもあり、アレックスの7才の誕生日には手作りのバックギャモンのボードをプレゼント。ゲーム仲間の前でアレックスにバックギャモンを教え、アレックスに約束させる。
バックギャモンをしながらヴァスコは義父のバイ・ダンに言う。
バイ・ダンの一言に背中を押され、スパイになるよりは亡命の道を選ぶヴァスコ。
妻と7才の息子・アレックスとともに、ようやくイタリアの難民キャンプに辿り着くが、そこでは悲惨な生活が待っていた。
妻とアレックスを守り、そんな難民生活から抜け出すために、ヴァスコはある決心をする・・・。
それから25年後、亡命先のドイツからブルガリアに初めて帰郷する途中で事故が起きてしまった。故郷を逃れ、歴史に翻弄されたアレックスの両親が気の毒でならない。
一方、政府に目を付けられながらも、渋とく故郷に根を張るバイ・ダンの存在感がすばらしい。
そして、記憶障害となった孫のためにタンデム自転車でブルガリアを目指す。
この映画の中で象徴的に使われるバックギャモンとタンデム自転車。
対戦相手がいない時はPCゲームのバックギャモンを。ある時は無料のオンラインでバックギャモンができることを知って時々はオンラインバックギャモンを楽しんでいた。このオンラインバックギャモンは世界中の人がアクセスできて、ヨーロッパやアジアの知らない人たちとバックギャモンを楽しんだりと。サイコロを振って駒を進めるゲームなので言葉は不要だし。
日本ではマイナーなイメージがあるけど、ヨーロッパではメジャーなゲームなんだとこの映画で初めて知った。
さらに、この映画のように、人生を語れるほど奥の深いゲームであることも知らなかったなぁ。
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