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2014.06.11

映画『最高の人生の見つけ方』-構成

     

以前から気になっていたこの作品、やっと観ました。
モーガン・フリーマンとジャック・ニコルソンの夢のような共演、2人の掛け合いを見ているだけで、とても幸せな気分に。

で、構成表を作ってみようとしたんだけど、皮肉屋でお茶目なジャック・ニコルソンと真面目で哲学者風のモーガン・フリーマン、それぞれのキャラを生かしたセリフの掛け合いが秀逸で、全編、ほとんどセリフを採録してしまった。

そういうわけで、今回はACT1のみ、公開します。

『最高の人生の見つけ方』 原題:The Bucket List

製作年:2007年(アメリカ)  時間:97分

監督:ロブ・ライナー
脚本:ジャスティン・ザッカム   
出演:ジャック・ニコルソン、モーガン・フリーマン、ショーン・ヘイズ、ビヴァリー・トッド、ロブ・モロー

【あらすじ】
仕事に人生をささげた大富豪エドワードと、夢や計画を封印し家族のために46年間働き続けてきた自動車修理工のカーター。生い立ちや性格、家族構成もまったく違う二人の初老の男が、たまたま病室で相部屋となった。始めは互いに疎ましく思うが、次第に意気投合。共に余命は6か月。やりたいことをすべてやり尽くそうと決意し、無謀にも病院を脱出。“棺おけリスト”を手に、さまざまなことに挑戦する。

【二人の棺おけリスト】                                    
①(実現15)荘厳な景色を見る(カーター)
②(実現14)見知らぬ他人に親切にする(カーター)
③(実現11)涙が出るほど笑う(カーター)
④(実現3)マスタングGT350を運転する(カーター)
⑤(実現1)スカイダイビングをする(エドワード)
⑥(実現5)ライオン狩りをする・ライフル銃を撃つ→アフリカンサファリに行き、
       ライフル銃一発のみ撃ってみた(エドワード)
⑦(実現13)世界一の美女にキスをする(エドワード)
⑧(実現2)タトゥーを入れる(エドワード)
⑨(実現4)三ツ星レストランで最高の風景を楽しみながら、食事をとる(エドワード)
⑩(実現6)ピラミッドを見る
⑪(実現7)タージ・マハルへ行く
⑫(実現8)万里の長城をバイクで走る
⑬(実現9:天候不順で途中で断念①で実現)エベレストに登る
⑭(実現10)香港に行く(シルクのスーツとクルミのアイスクリーム)
⑮(実現12)(エドワードが)娘と再会する

【登場人物】
エドワード・コール(ジャック・ニコルソン):大富豪の実業家。4度の離婚歴あり。66歳
カーター・チェンバーズ(モーガン・フリーマン):自動車修理工。クイズマニアで博学、
           大学教授になるのが夢だった。
トーマス(ショーン・ヘイズ):エドワードの秘書。トーマスとかトミーと呼ばれるが本名は
           マシュー。
ヴァージニア・チェンバーズ(ビヴァリー・トッド):カーターの妻。元看護師。カーターが
           エドワードと旅に出ることに反対する。
ホリンズ医師(ロブ・モロー):エドワードの主治医で余命宣告をする。

※構成表 ACT1 は画像をクリックすると大きくなります。
※Chap.No.はDVDのチャプター番号
《注》構成表の下の分析では微妙にネタバレありです。


                        【ACT1-1】

The_bucket_listact11
                       【ACT1-2】

The_bucket_listact12

【ACT2-1、2】※拡大なし

The_bucket_listact21

The_bucket_listact22


























【ACT3-1、2】
※拡大なし

The_bucket_listact31

The_bucket_listact32
















◆物理的ゴール
:棺おけリストをすべて達成する 
 
◆心理的ゴール:残された日々を精一杯楽しんで生きる 
 
◆プロット・ポイント1:PP1 (ACT1の終わる前-非日常に向かうきっかけ) 
0:29:28~・・エドワードがカーターの棺おけリストを見る 
 
ミッド・ポイン:MP (全体のちょうど中間-もう引き返せない地点) 
0:49:36~・・カーターのカテーテルから血が漏れ出す。しかし、カーターは帰る気がなく、旅を続ける  
 
プロット・ポイント2:PP2 (ACT2の終わる前-クライマックスに向かうきっかけ) 
1:12:43・・自宅に戻る決意をするカーター

◆ロー・ポイント1(Bad News1)
1:15:07・・カーターとエドワードの仲違い

◆ロー・ポイント2(Bad News2)
1:21:44・・カーターの転移&手術

◆クライマックス
1:29:01・・カーターの葬儀でのエドワードの挨拶。
      2人で旅した最高の日々を語るエドワード。

  クライマックスは、最初、エドワードが娘と孫と再会するところかなと思った。MPの直前からエドワードの娘のことは2人にとって大きな課題になっているし、ロー・ポイント1でそのことで2人は最悪の仲違いをしてしまう。なので、この問題の解決は感動を喚起するのではと考えた。

 しかし、この作品はカーターとエドワードの物語であり、2人の関係性の中でのエモーションの高まりでなければならないかな?ということでカーターの葬儀に。

 バディ・ストーリーの場合、メンター(賢者)的要素を持った方が物語を引っ張っていっているように見えるので、どちらが主役かというとメンター役のように見えるけど、キャラクター・アーク(キャラクターの変化の度合い)で見ると、逆の場合が多いよう。

 例えば『テルマ&ルイーズ』(1991)もしっかり者のルイーズが物語を引っ張っているように見える。ルイーズは長所だけでなく、やがて欠点も見えてくるが基本的にしっかり者であるということは変わりない。
 一方、テルマのほうは、キャラクター・アークが著しい。最初、男尊女卑の夫にいつもビクビクしていた主婦が、自分の意思を持つようになり、自分の人生を自分で選択できるまでに成長する。その意味では、テルマのほうが主役といえる。

 『セブン』(1995)の場合、ミルズ(ブラッド・ピット)かサマセット(モーガン・フリーマン)かシナリオ分析の授業の時に、意見が分かれた。確かにミルズはメンター役のサマセットによって刑事として成長した。だが、キャラクター・アークで見ると明確に変化しているのはサマセットだ。退職の日を前に、混とんとして無関心に蝕まれたこの世界に嫌気がさして、刑事という仕事に価値を見出せなくなっていたサマセットだが、七つの大罪の連続殺人事件とミルズ夫婦と係わることによって、闘う価値を再認識する。

 『最高の人生のみつけ方』の場合、カーターは慎重なあまり臆病になったり、憧れのムスタングの運転では子供のようにはしゃぐ一面も見せる。だが、基本的には彼はメンターのポジションをキープしている。
ところがエドワードは、テルマと同じく、最初は支配欲が強く傲慢だったが、カーターと旅をして心を開くにつれ、他人を思いやる穏やかな人間へと変化、成長していく。変化の度合いで言えば、エドワードの方が主人公と言えるかもしれない。

 う~む、バディ・ストーリーの場合は、あえてどちらがとか考えないで楽しむべきかもしれないけど。


 ところで、【棺おけリスト】で思い出したけど、以前、カウンセリング・セミナーを受講した時、最初の授業で【願いのリスト=Wish List】を書くという課題が出た。
 自分が欲しい物、なりたい物をなんでもすべて書く。そして実現したものは消していくというリスト。心の中だけでアレコレ思うより、リストに書き出してみる。その行為そのものが願いを叶える第一歩となる・・・そうだ。

 わたし? 五項目くらいは書いて、いつもデスクの前に張ってますです。なかなか実現しないものもあるけど・・・。でも、諦めずに、時々、【願いのリスト=Wish List】を見上げてます。

 わたしも、エドワードみたいな (大富豪の) お友達が欲しぃ~い!


【プチ・トリビア】
※実際には、エジプトのピラミッドの上には登れません。映画用に特別に許可を得て、セットを組んで撮影したとのこと。

※万里の長城も実際はバイクでは走れないそう。

※「チョック・フル・オブ・ナッツ」(Chock full o'Nuts)はナッツではなくインスタントコーヒーの名前。CMソングや缶に Heavenly coffee (天国のコーヒー)とある。

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