『ヒッチコック映画術/トリュフォー』:PC不調のおかげで一挙に読み終えた!
昨年の夏購入して半分ほど読んでいたけど、PC不調で立ち上がりなど動作があまりにも遅くなったので、待ち時間の間に読み進めてやっと読了。
『ヒッチコック映画術』 フランソワ・トリュフォー (著) 山田宏一・蓮實重彦 (訳)
全編、トリュフォー監督によるヒッチコック監督へのインタビューで構成。
なによりも感動的なのは、トリュフォーのヒッチコックとその作品への愛。
本当に本当にヒッチコックの作品をよく観ているし、きちんと分析している。
トリュフォーやゴダールなどヌーヴェル・バーグで敬愛されたハワード・ヒッチコック主義というのがいまいちピンと来てなかったんだけど、この本を読むと彼らの言う作家主義というのが理解できた。
それから、ヒッチコックの言葉の中に、小津安二郎監督と共通する点も.
「シナリオライターの一番大きな罪は難しいシーンになるとすぐ『ここに台詞を入れればよかろう』 といって難関をあっさり切り抜けようとすることだ。台詞というのは単にサウンドのひとつに過ぎないということを知るべきだ。人物の口から発せられるというだけで、他の音と変わらない。人物の眼や動きのほうが、視覚的に語る力を備えているのだから」
これを読んだ時、小津さんが笠智衆さんに言ったという言葉を思い出した。
俳優の演技について、笠さんが自分なりの演技プランを伝えようとした時、小津さんは「俳優の演技なんてどうでもいい。(自分にとって)大事なのは構図だ」(意訳)ということを言ったとか。
つまり、映画は“絵”で見せることが大事ということ。
デビッド・リンチも『インランド・エンパイア』のインタビューで同じことを言っている。
『ヒッチコック映画術』には、作品分析、映画の裏話だけでなく、各作品ごとに映画技法も詳しく語られており、映画を志す人は一度は読んでいたほうがいいと思うよ。
さて、一度目はまず読み通すことが目標だったが、次はヒッチコックの言葉を拾い集めながらじっくりと二度目、読んでみよう。
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