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2017.01.23

メキシコ国境に壁って・・・あの人、まさかこのドラマを観て・・・ということで、アメリカドラマ『ブル~ス一家は大暴走!』(Arrested Development)


昨年、一挙見したTVドラマの中の一つブル~ス一家は大暴走!』(原題: Arrested Development)

1話が30分弱なので、ついつい、スイスイ、見てしまいました。

シーズン1 全22話 放送2003年11月~2004年6月 FOX
シーズン2 全18話 放送2004年11月~2005年4月 FOX
シーズン3 全13話 放送2005年 9月~2006年2月 FOX
シーズン4 全15話 放送2013年 5月26日 Netflix一挙公開


この作品、根強いファンがいるみたい。

実は第1シーズンの視聴率は悪くて打ち切り寸前の一方、視聴者や批評家からの支持は高く、この第1シーズンはエミー賞コメディ部門で作品賞を受賞。
しかし、このままでは採算が取れないということで、FOXは第3シーズン終了の2006年に打ち切り決定。

ところが、2013年に新シーズンとしてNetflixで復活。
このあと、第5シーズンの製作も決まってるよう。
IMDb のエピソードガイドにシーズン5があるので、多分製作されるものと。


【内容】

カリフォルニア州オレンジカウンティの不動産開発で資産を築いたブルース一家。
社長である父、ジョージ・シニア(ジェフリー・タンバー)が引退したその日、父は不正会計で逮捕されてその資産は凍結されてしまう。この一家、家族全員が超個性的で、早く言えば変人ばかり。

唯一まともなのが次男のマイケル・ブルース (ジェイソン・ベイトマン)とその息子のジョージ・マイケル(マイケル・セラ)。マイケルは妻に先立たれ、今は独身。息子とは良い関係で良き父でもある。

そのマイケルが、いわゆる機能不全家族を養うために奮闘するというのがメインストーリー。サブストーリーは家族それぞれの個性に応じて、ハチャメチャです(笑)

Arrested_development1

左から:ウィル・アーネット、トニー・ヘイル、アリア・ショウカット、マイケルセラ、ジェイソン・ベイトマン、デヴィッド・クロス、ジェシカ・ウォルター、ジェフリー・タンバー、ポーシャ・デ・ロッシ


【主な登場人物】

マイケル・ブルース(ブルース家 次男):ジェイソン・ベイトマン
  妻に先立たれ、一人で息子を育てている。リンジーとは双子。
  この10年、ワンマンの父のもとでブルース社の経営を引き受けてきた。やがて
  父の引退の日、後継者に指名されると思っていたのに、父が指名したのは母。
  傷つき失望したマイケルはブルース一家と縁を切り、自分の道を歩み始める。
  しかし、母に会社経営などできるはずもなく、呼び戻され・・・。

ジョージ・マイケル・ブルース(マイケルの息子):マイケル・セラ
  シャイで素直で心優しい青年。従妹のメイビーを好きになるが・・・。

ジョージ・ブルース・シニア(ブルース家 父):ジェフリー・タンバー
  大企業ブルース・カンパニーのCEO。シーズン1の1話で不正経理で逮捕される。
  刑務所に服役中もCEO気質が抜けず、我がままを言っては会社を任せたはず
  のマイケルを支配しようとして、マイケルを困らせる。
  双子の弟、オスカー・ブルース(二役)がいて、なんともややこしい話に・・・。

ルシル・ブルース(ブルース家 母):ジェシカ・ウォルター
  CEOの妻気質が抜けずいつもゴージャス。終始、高圧的で浪費癖あり。

ジョージ・オスカー・ブルース2世(ジョブ)(ブルース家 長男):ウィル・アーネット
  プロのマジシャン。ある時、公の場でついマジックの種明かしをしていまい
  マジシャン連盟から除名されてしまう。以来、なかなか舞台復帰ができず
  迷走。プライドだけは異常に高いために、普通の仕事はムリっ。

バスター・ブルース(ブルース家 三男):トニー・ヘイル
  ルシルが夫と間違って、夫の双子の弟・オスカーと寝てしまい生まれた子供。
  知的障害(あるいは行動障害)とパニック障害があり、ルシルが溺愛したため
  スーパー・マザコンに。

リンジー・ブルース・フンケ(ブルース家 長女):ポーシャ・デ・ロッシ
  医者の妻になって何不自由ない生活・・・のつもりだったが・・・実は夫は
  とんでもない奇人変人だった?!  贅沢な環境で育ち母に似てゴージャスな
  ライフスタイルから抜けきれない。
  
トビアス・フンケ(リンジーの夫):デヴィッド・クロス
  もと精神科医。なのだが、あるとんでもない医療ミスをしでかし病院をクビに。
  それを機会に、夢だった役者の道を歩みだす。しかし、勘違いも甚だしく・・・。
  裸恐怖症で妻のリンジーにも裸を見せられないとか最高の変キャラ。

メイビー・フンケ(リンゼイの娘):アリア・ショウカット
  非現実的な両親の間に生まれたにもかかわらず超現実的でしっかりしている。
  まだ10代にもかかわらず年齢を偽って映画会社に潜り込み、プロデューサー
  として大活躍。

ナレーター:ロン・ハワード


【見どころ】


◆製作総指揮&全シリーズ全話のナレーターはあのロン・ハワード

Ronhoward_2

ロン・ハワードと言えば映画『コクーン』(1985年)、『アポロ13』(1995年)、アカデミー賞作品賞・監督賞の『ビューティフル・マインド』(2001年)、『ダ・ヴィンチ・コード』 (2006年)、『天使と悪魔』(2009年)などの監督、テレビドラマ『24 -TWENTY FOUR-』のプロデューサーとしても有名。

両親が俳優で子供の頃から役者としても活躍しており(子役時代の名前はロニー・ハワード)、テレビシリーズ『メイベリー110番(原題:アンディ・グリフィス・ショー)』などで人気だったらしい。

『ブル~ス一家は大暴走!』ではナレーションだけでなく本人役でもかなり出演してます。
特にシーズン4では、ブルース一家をモデルにドラマを作るという話がロン・ハワード監督から出て、マイケルがその件でロン・ハワード監督のイマジン社に打ち合わせに行くシーンが。

その時のロン・ハワード監督とマイケルの会話で、まず『メイベリー110番』が40年ぶりに復活か?という話が出たり、オフィスにでんと置かれた月面着陸船の中で打ち合わせして、『アポロ13』の話が出たり、ロン・ハワード監督の作品着想のヒントが明かされたりと裏話が聞けて、かなり面白い!


◆シャーリーズ・セロンがゲスト出演!


英国人街でマイケルが出会い一目惚れした英国訛りイングリッシュの超美人。
愛らしく、純真無垢で、無邪気。話によると幼稚園の先生らしい。マイケルは英国籍の彼女がアメリカに滞在できるよう彼女との結婚を決めるが、ブルース一家は大反対。
ところが、ある事実が発覚してブルース一家はリタとマイケルの結婚に超乗り気に。

その事実とは、リタは実は知的障害者。「幼稚園に行く」のは先生だからではなく、彼女は園児だったのだ。
ではなぜ、ブルース一家がそんな彼女との結婚賛成に転じたか・・・理由は明快。リタは莫大な財産を持つイギリスの大金持ちだったから。
すべてを知ったマイケルは、リタの財産に態度を一変させた家族に激怒。そして、二人の結婚は・・・。

シーズン3(2005)のエピソード2から6まで5エピソードに登場。最初にリタを見た時、「まさか、シャーリーズ・セロン?!」とIMDdでキャスティングを調べたほど。で、本物のシャーリーズ・セロンでした。

リタの保護者である叔父さん曰く。
「アメリ人は(彼女が知的障害者とは)気づかない。彼女の発音と整形のせいだろう。去年なら問題なかった」

そしてインサートされた1年前の写真というのが・・・な、なんと、映画『モンスター』(2003)の連続殺人犯アイリーン・ウォーノスの顔写真!!!

Blues0

映画『モンスター』(2003):実在の連続殺人犯アイリーン・ウォーノスを描き、シャーリーズ・セロンは体重を13キロ増やし、特殊メイクでアイリーン・ウォーノスを熱演。この役でアカデミー賞女優賞受賞。

1年後のリタ・・・

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こんなキュートな姿も ↓
リタは、いつもピヨコちゃんバックを背負ってる(笑)

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◆ベン・ステイラーやセス・ローゲンもゲスト出演

ベンス・テイラ―は長男ジョブのライバル・マジシャンとして登場。

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お互いに相手の弱みを握るためにゲイを装って接近するが・・・。
なぜか。妙な雰囲気に・・・。

◆あのライザ・ミネリがセミ・レギュラー

この人も、「まさか本人?!」と思ってしまった・・・

Cabaret_2

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『キャバレー』(1972年)でアカデミー賞主演女優賞(26歳)→2003年で57歳

50代でもお色気があってゴージャス! 現在は71歳です。


◆主人公親子は『JUNO』でも共演

主人公の父と息子は『JUNO』(2008)でも共演。

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息子のマイケル・セラはジュノの子供の父親。
ジュノの気持ちが分からなくてオロオロしてたけど、
最後は二人、ハッピーエンドで良かった良かった!








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お父さんのジェイソン・ベイトマンは、ジュノの
子供を養子として望む夫婦の夫役。

まだ父親になる覚悟ができてないからと
逃げちゃったあの役。






◆その他

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ウィル・アーネットは昨年後半に観たばかりの
『俺たちフィギュアスケーター』(2007)に、
ウィル・フェレルとジョン・ヘダーの男性ペアの
ライバルとして実際の奥さん(当時)と双子の
スケーター役で登場。


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ポーシャ・デ・ロッシは『アリーmy Love』のネル役。
『アリーmy Love』は当時仕事をしていたプロデューサーから、こんなドラマを作りたいと言われて、ビデオ屋さんに置いてあるだけのVHSビデオを借りて見まくった作品。アリーと違うタイプのネルはクールでかっこ良かった! そのネルをこの作品で久々に観て満足! 





◆さて、最後に話題の(笑)メキシコ国境の壁建設問題


メキシコ国境に壁を建設するという話はシーズン1~3(2003~2006)でも出ていたようだけど、本格的に建設話が出て来るのがシーズン4(2013)。

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まず父と母(刑務所に服役中)がメキシコ国境の壁建設を決めます。

そして、父が政治家に壁建設を持ちかけます。その政治家は右翼の変人と言われる政治家ハーバート・ラブで、父に賄賂を要求。

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父は母が孫に整形手術代として送った5万ドルの小切手をくすねて、ハーバート・ラブに賄賂として贈ります。

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するとハーバート・ラブは早速、メキシコ国境の壁建設をテレビで主張し始めます。

ところが、父と母は信じられない勘違いに気が付きます。

メキシコ国境の壁建設を政府に働きかけたのは、実は自分たちの土地がメキシコ国境のアメリカ側にあり、壁を造ることで自分達の土地をアメリカ政府に買い上げさせるのが目的でした。

しかし、実際に政府からの国境の測量が開始されると、自分たちの土地はアメリカ側ではなくメキシコ側にあるという事実が発覚。

Arrested_development7

父と母が信じていた地図は大学で地図作成を学んだという三男のバスターが描いたもので、全く信頼できない地図だったのです・・・。

※三男バスターはその言動から知的障害や行動障害など何らかの障害があると思われるけど、ドラマ内の説明では「大学院生で、大学では全学科を専攻。先住民の儀式から新航路の地図作成まで学んだ」ということになっている。

アメリカ政府に土地を売ることができないと分かると、今度はハーバート・ラブの対立候補(ライザ・ミネリ)に「壁建設反対」を働きかける。

メキシコ国境の壁建設はシーズン4ではここまで。どうなるかはシーズン5に持ち越されそう。

このドラマの中では、メキシコ国境の壁建設は自分達の土地を政府に買い上げさせるという欲まみれの発想。

当然、メキシコ人たちが壁建設に反対して暴動を起こすというミニ・エピソードも盛り込まれています。

このドラマ全話を見たのが昨年の11月。トランプ氏のメキシコ国境の壁建設話とリンクして「まさか、このドラマが新大統領の発想のヒントに? そんなアホな・・・」と一人で大爆笑。単純で通俗的なトランプ氏ならありうるなぁとか。

荒唐無稽なメキシコ国境の壁話って、合衆国では一部の人たちにとって、昔からある発想なの? 
果たして表向きの理由だけなの?
一兆円はかかると言われている国境の壁、このドラマのブルース夫妻のように土地が売れて潤う一部の人はいないの?

他国のこととはいえ、現実もドラマも、今後の成り行きから目が離せませんね(笑)

【参考記事】

 映画から読み解く「メキシコ国境の壁」

『ワールドシネマ・スタディーズ 世界の「いま」を映画から考えよう
     小長谷有紀、鈴木紀、旦匡子(著)勉誠出版


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