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2017.09.14

映画『華氏451』~好きな監督と作家の組み合わせ!


『華氏451』FAHRENHEIT 451(1966・英)112分

監督:フランソワ・トリュフォー

脚本:ジャン=ルイ=リシャール/フランソワ=トリュフォー

原作:レイ・ブラッドベリ

撮影:ニコラス・ローグ

音楽:バーナード・ハーマン

出演:オスカー・ウエルナー、ジュリー・クリスティ、シリル・キューザック、アントン・ディフリング

《あらすじ》
華氏451度は摂氏233度にあたり、紙(本)が自然発火する温度。

活字の存在しない未来の管理社会を描いたレイ・ブラッドベリの小説を映画化。
全てが機械化され、あらゆる知識や情報が全てテレビによって伝達される近未来を舞台に、本の存在意義に目覚めた男の姿を通し、文化破壊への非難をシニカルに描いたSF作品。

主人公モンターグ(オスカー・ウエルナー)は禁止されている書物の捜索と焼却にあたる有能な消防士だったが、クラリスという女性と知り合った事から本について興味を持ち始める。やがて読書の虜となった彼の前に妻の裏切りと同僚の追跡が……。

《感想》
十代から二十代にかけて夢野久作と並んで夢中で読んだレイ・ブラッドベリ原作の映画。なぜか今まで観る機会を失していて、やっと観れた。

この作品は全体主義批判や管理社会批判の映画と見られることが多いが、レイ・ブラッドベリ自身は『この作品で描いたのは国家の検閲ではなく、テレビによる文化の破壊』だと語っている。

アメリカでテレビ放送が始まったのは1940年。この小説が書かれた年(1953年)、日本ではNHKと日本テレビがテレビの本放送を開始。それから4年後の1957年、社会評論家の大宅壮一氏が「一億総白痴化」とテレビ批判をした。
今もって、テレビの功罪についていろいろ考えさせてくれる作品だった。

トリュフォー監督の色彩設計の鮮やかさや、ヒッチコック作品でお馴染みのバーナード・ハーマンの音楽の素晴らしさに引き込まれつつ、セリフを記憶に留めておきたくて、メモしながら二度見たが、結局、三度目は全編シナリオ採録してしまった。
いずれ改めて、ブログにアップします。

おまけ


『突然炎のごとく』(1962)でトリュフォー監督と意気投合していた主役のオスカー・ウェルナーだったが、『華氏451』では撮影が進むにつれて監督との関係が険悪なものとなっていったそう。

撮影中、ウェルナーは何かにつけてトリュフォー監督に反抗的になり、自分で目立とうと必要以上の演技や、階段を昇ったり逃亡したりのアクションシーンは拒否、勝手に髪を短くしてきて、挙句風邪を引いたりと周囲を困らせ、もう二度とオスカー・ウェルナーだけは使いたくないとトリュフォー監督を憤慨させたらしい。
この撮影中にウェルナーは『愚か者の船』で、ジュリー・クリスティは『ダーリング』でアカデミー賞主演賞にノミネートされ、ウェルナーは受賞ならず、ジュリー・クリスティは主演女優賞を受賞。

トリュフォー監督はこの撮影時の日記を記事として「カイエ・デュ・シネマ誌」に掲載して、後にそれをまとめて『ある映画の物語』として出版している。
撮影中のオスカー・ウェルナーとの確執が具体的にいろいろ書かれているよう。

オスカー・ウェルナーは俳優として彼なりに言い分があったのだと思うが……。

ただ、どんなに確執があろうと、降板はしてません(笑)


     

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