2018.09.11

『没後20年 旅する黒澤明』と生誕100年ロバート・アルドリッチ『キッスで殺せ』を観る 

PFFで中元雄監督・脚本の『一文字拳 序章 −最強カンフー少年対地獄の殺人空手使い−』を観た後、所用で京橋から西葛西の映画学校へ。

その後、再び京橋に戻り国立映画アーカイブ開館記念『没後20年 旅する黒澤明』  ポスター展へ。

20180908nfajkurosawa

世界30か国にわたる黒澤映画のポスター84点、さらにプレス資料など。
ポスターを見ているだけで凄い迫力。
黒澤映画がいかに世界で支持されたかがよく解った。

下の写真は、唯一、撮影が許可されていた2点のポスター。

20180908nfajkurosawa1up


20180908nfajkurosawa2up

18時からはPFF招待作品部門 『女も男もカッコいい! 今こそアルドリッチ』 特集の『キッスで殺せ』を観る。

Aldrichkissme

『キッスで殺せ』  Kiss Me Deadly 1955年/白黒/105分

監督:ロバート・アルドリッチ
脚本:A・I・ベゼリデス
原作:ミッキー・スピレイン
出演:ラルフ・ミーカー、アルバート・デッカー、ポール・スチュアート
1999年、アメリカ国立フィルム登録簿に登録

【あらすじ】
 私立探偵マイク・ハマーは深夜のハイウェイで謎めいた美女に出くわす。しかし男たちに襲われ、彼女は殺され、ハマーも重傷を負ってしまう。
 事件の真相を探るハマーは助手ベルダを人質に取られながらも、核開発をめぐる陰謀に迫っていく。
 名匠アルドリッチが過激な暴力描写で描く衝撃のフィルムノワール。
 ゴダールらヌーベルバーグ作家たちによって支持され、カルト化。
                               ( eiga.com  より )

前からロバート・アルドリッチ監督、ベティ・デイビスと ジョーン・クロフォード主演の『何がジェーンに起ったか?』(1963)を観たい観たいと思い続けていたので、この機会に同監督作品を観ておくことに。

上映後に黒沢清監督のアフタートークがあるというのも魅力で、この日は朝から夜まで映画漬けでした。

『キッスで殺せ』の冒頭のハイウェイシーンは、なぜかデヴィッド・リンチ監督の『ロスト・ハイウェイ』(1997)をすぐに思い出したけど、もしかして。『キッスで殺せ』のオマージュ?

探偵が主役で、ファム・ファタール(運命の女・悪女)が登場して・・・お~、まさにフィルム・ノワール・・・と思っていたら、ファム・ファタールは早々に消え、次々に女性が・・・。
途中から、主役の行動原理が訳わかんなくなって、思わず笑ってしまったり。
さらにラストのホラー的なオチには、唖然として、内心、大爆笑。

じょ、除染が必要なのでは……(爆)
しかし『アトミック・カフェ』 (1982)で取り上げられていたように「核爆弾がピカッと光ったら伏せて隠れろ!それさえ守れば安全だ!」のプロパガンダが行き渡っていた国だと思うと、このオチにも納得。

なんとも、不思議な吸引力のある作品でした。

白黒で、ロケ多用、即興演出的な展開を見ていると、フランスのヌーヴェルバーグ(1950年代後半から60年代にかけてのフランスの新しい映画運動)への影響も感じた。

※後で調べたら、ヌーヴェルヴァーグの巨匠、ジャン=リュック・ゴダールが影響を受けた過去作品の中に『キッスで殺せ』も取り上げられていた。
https://theriver.jp/godard/


黒沢清監督は開口一番「何度見ても、よくわからない」作品とのこと。
「物語の全貌がつかめるようでつかめない。マイク・ハマーという探偵が一貫して謎を追っているが、それ以外のことがほとんどわからない。でも、こちらの目を釘付けにする普通じゃない瞬間がいくつもある」と作品の持つ複雑な魅力を語っておられました。

Aldrichkissmekurosawa

<参考>

第40回PFF開幕 黒沢清監督が語るロバート・アルドリッチ



<余談>

シナリオ分析の授業で前期は『チャイナタウン』 (1974年ロマン・ポランスキー監督)を取り上げたが、後期はぜひ、白黒のフィルム・ノワールの名作を一本取り上げたいと思っている。
候補は……

『マルタの鷹』 (1941年ジョン・ヒューストン監督)
 フィルム・ノワールの始まりといわれる作品。
 
『黒い罠』 (1958年オーソン・ウェルズ監督)
 冒頭の長回しで有名な作品。
 ハリウッド映画をとことん風刺した『ザ・プレイヤー』 (1992年ロバート・アルトマン監督)の冒頭の長回しで「長回しといったら『黒い罠』……」を聞いて、即、amazonで注文。
 『市民ケーン』 (1941年)での長回しやクレーン撮影がこの作品でも発揮されている。同時代のヌーヴェルヴァーグの監督たちからは彼らの信奉する作家主義の完璧な実践例として絶賛されたという。

しかし、ワタシ的にフィルム・ノワールといえば……

『第三の男』 (1949年キャロル・リード監督)
 『黒い罠』と同じくオーソン・ウェルズが悪役で登場。最もドイツ表現主義の影響がよく分かる作品で、光と影の映像美や、哀愁を掻き立てるチターの音楽、有名なラストの別れのシーン……すべてに強烈な印象を受けた作品。

どの作品も学生たちに一度は見ておいて欲しい作品。
それぞれに素晴らしく、どれか一本というと迷ってしまう。
後期授業が始まるまでに、決めておきますから(笑)


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018.09.10

PIA FILM FESTIVAL へ行ってきた

20180908pffup4

 第40回 ぴあフィルムフェスティバル

9月8日 初日に行ってきました。
京橋の国立フィルムセンターに行くのは久々。
今年の4月に国立映画アーカイブ と名称が変わっていた。

お目当てはPFF Award2018に入選した18本の中の一本、中元雄君監督・脚本の

一文字拳 序章
 ― 最強カンフー少年対地獄の殺人空手使い ―

中元君はTBM 東京放送芸術&映画・俳優専門学校(2018年4月 東京フィルムセンター映画・俳優専門学校より校名変更)の3年生。

学校でこの作品は一度見ていたが、劇場の大スクリーンで観るとこの作品の売りであるアクションがすごい迫力で、改めて見入ってしまった。


2度目の上映は
9月14日(金)16時から

ジャッキー・チェンを敬愛する中元君の作品、ぜひぜひご覧ください。

20180908pffup1

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018.07.26

映画評論家・町山智浩氏の著書、大人買い

一本映画を見終えると、必ずネットで他の人の感想を読んでみる。
良かった! 面白かった!そんな映画は☆数、あるいは点数の多い感想から読み、
つまらない! ヒドイ! そんな映画は☆数、あるいは点数の低い感想から読む。
つまり、共感し合える感想を求めてしまうというわけ。

あまりに評価が分かれている映画の場合は、外国の映画批評サイトも参考にする。
IMDbRotten TomatoesMetacritic など。

日本とは異なる歴史的、文化的、社会的、宗教的背景の外国映画の場合、製作国や他国でどう評価されているのか知ることで、その映画をより理解することができる。

その意味で町山智浩氏の評論はグローバルな視点を持ち、映画の背景をより深く知ることができる。なのでWOWOW映画塾やyoutobeでの“たまむすび”は必見、必聴。

その町山氏の著作、ちゃんと読みたいと思いつつ、やっとやっと大人買い。
出版日時順に

2002/9/9: <映画の見方>がわかる本-『2001年宇宙の旅』から『未知との遭遇』まで  (洋泉社)

2006/1/4: 〈映画の見方〉がわかる本-80年代アメリカ映画カルトムービー篇 ブレードランナーの未来世紀 (洋泉社)
2011/3/30: トラウマ映画館(集英社)
2016/10/31: 最も危険なアメリカ映画 『國民の創生』 から 『バック・トゥ・ザ・フューチャー』 まで(集英社)
2017/1/17: 映画と本の意外な関係! (集英社インターナショナル新書)
2017/9/19: 今のアメリカがわかる映画100本(サイゾー)
2018/2/12: 「最前線の映画」を読む (集英社インターナショナル新書)

夏の間にじっくりと読みたいと思っているんだけど、積読本ばかりが増えてしまい、さて、達成できるかどうか……。

   
  
 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2018.07.20

「ZONE NIGHT」へ行ってきた

20180718kouenji1

「ZONE NIGHTとは
インディーズ・レーベルのRQ(現 製作工房 赤の女王)から生み出された、三本の自主製作映画「ZONE」(2003)「ZONE2」(2004)「ZONE3」(2005)のZONE3部作の上映会。
7/18 (水) 「ZONE」
7/19 (木) 「ZONE2」
7/20 (金) 「ZONE3」
連日開場18:30 上映開始19:00
場 所 シアターカフェ「プロセニアム」
  杉並区高円寺南3−46−9プラザU地下一階
  JR高円寺駅徒歩3分、丸ノ内線新高円寺駅徒歩9分
  03−6383−2813
チケット 1500円/1ドリンク付き
今日が最終回です。
ZONE3部作は映画「ゴジラ」シリーズの脚本家・三村渉さん主宰のプロ・アマのシナリオライターを中心とした企画集団Plan-net Labo(プラネット・ラボ)のメンバーたちの監督・脚本で製作されたショート映画のオムニバス作品。

私もプロとしてPlan-net Laboに参加しており、黒澤明監督を敬愛する金子大志監督・脚本の「空蝉(うつせみ)」製作に車での機材運搬などでお手伝いさせていただきました。
脚本の打ち合わせで撮影スタジオに行き現場を見る機会は多々あったけど、自主製作映画の現場は初めてで、手作り映画の大変さと面白さを体験。

金子さんは「空蝉」の後、数本の自主製作映画を撮り、東京国際ファンタスティック映画祭デジタルショートアワード「600秒」の笑い部門グランプリを受賞してプロに。

Plan-net Laboからは多くの監督、脚本家、漫画原作者などがプロデビューしており、私もこの仲間たちと脚本を作り、初演出にチャレンジして芝居を上演したことも。

超久々に、メンバーたちと会い、高円寺の不思議楽しい居酒屋「薄利多賣半兵ヱ」で飲みました。

20180718kouenji22

20180718kouenji32



20180718kouenji42

20180718kouenji5























「ZONE」(2003)から15年……歳は経たけど、みんな中身はあの頃と同じく熱い!!!

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017.10.21

ボクシング、初めての生観戦! そしてボクシング映画のこと

ひょんなことからボクシング試合のチケットをいただき、このチャンスを逃すとボクシングの生試合を見る機会はないだろうな……
ということで10月20日(金)後楽園ホールに行ってきました。

20171020boxing4

日中国交正常化45周年記念

 DANGAN198 日中親善試合

こういうタイトルの試合があるとは知らなかった・・・
日中友好はこんな形でも進んでいるのですね。

まず、前座的?な若き国内ボクサーのデビュー戦が5試合(4R)。

この日、総武線が新小岩だかで人身事故があったため運転休止! 後楽園ホールへは中央線快速で四谷まで行き総武線に乗り換えて水道橋下車のつもりだったんだけど、さてどうしたものか・・・。
で、思い切って中央線快速で四谷の次のお茶の水まで行き、総武線新宿方面行に乗り換えることに。

20171020boxing1_2

動いているかどうか情報がなかったので不安だったんだけど、この判断はバッチリ正解! ちょうどお茶の水から新宿・三鷹方面に折り返し運転が始まったばかりだった!

そんなこんなでちょっと遅れて会場に到着。
第3試合が始まっていました。

デビュー戦、もしくはデビューしたばかりの若者たちの試合を見ていて、なんか胸が熱くなりました。

戦っている選手はもちろんだけど、なにより一人の選手を全力で支えているセコンドやトレーナーなど選手を支える人々の全力の姿に心を打たれました。

また、お客さんの年齢層が予想外。
90歳に近いような超高齢のおばあちゃんや小さな子供まで、なんと年齢層の広いこと。

その理由も分かって来た。子供や孫のためにおじいちゃん、おばあちゃんをはじめとして家族が応援に来ている!

一人の選手のために、多くのサポーターが支えている・・・それがボクシングなんだなぁと実感!

さて、いよいよ日中親善試合。
メインイベント含めて全7試合。

20171020boxing2

プロを目指してボクシングを始めたばかりという知人によると、この日の観客の半分は中国の人々らしいとのこと。客席はほぼ埋まっており、日中の応援合戦もあったりして、とても盛り上がった雰囲気で、この試合を見れてラッキーでした。

で、試合はというと・・・始まって間もなくの試合でパンチを食らった中国選手がニーダウン。いやいや、ニーダウンって本当に一歩もまともに歩けなくなるんだと分かった!

次の試合では1R、数10秒で日本選手がKnock Outされ、中国選手のKO勝ち。日本選手、起き上がれないまま運ばれて行ったみたい。

ニーダウンも、KOも一瞬の一発のパンチで決まるってこと実感できたよ。

後の試合は日中互角のファイトで、すべての試合が面白かった!
もし、知人がプロデビューしたら、わたしもサポートファミリーの一人として再びここに来るだろうな。

プロになれるかどうかは始まったばかりで未知だけど、目的に向かって努力しする道程が大事なんだよね。数年後に結果がどう出たとしても、きっと大切なものが残るよ。頑張れっ!

【おさらい】
これまでに観たボクシングの映画をちょっと整理してみよう。

『若者のすべて』(イタリア/フランス)1960年  監督・脚本:ルキーノ・ヴィスコンティ
出演:アラン・ドロン、レナート・サルヴァトーリ、アニー・ジラルド

Wakamononosubete1

耽美派と言われるルキーノ・ヴィスコンティ監督の若かりし頃、ネオリアリズモの作品。
イタリア南部からミラノへやってきた貧しい一家。次男シモーネはボクシングで一躍ヒーローとなるが、やがて娼婦ナディアと堕落の道へ。兵役ののちミラノへと戻った三男のロッコ(アラン・ドロン)はナディアと偶然出会い、惹かれ合う。そしてロッコもボクサーになり成功するが・・・。ボクシングと一人の女性を巡る兄弟の愛憎がじっくりと描かれた心に残る良作。




『ロッキー』1976年 監督:ジョン・G・アヴィルドセン

主演・脚本:シルヴェスター・スタローン

Rocky1

俳優としてオーディションに50回以上失敗していたスタローンは「モハメド・アリ対チャック・ウェプナー」戦をテレビで見て、結果として負けたもののアリを一度はダウンさせたウェプナーに感じるところがあり、3日間で脚本を書き上げたという。

スター俳優を使うことを条件に高額の脚本料を提示されたが、スタローンは自分が主役をすることを譲らず、脚本・俳優とも悪条件のもとで製作が開始された。お金の誘惑にも負けず、信念を曲げなかったスタローンを成功に導いた作品。



『レイジング・ブル』1980年 監督:マーティン・スコセッシ
 
脚本:ポール・シュレイダー、マーディク・マーティン
出演:ロバート・デ・ニーロ、キャシー・モリアーティ、ジョー・ペシ

Ragingbull1

実在のミドル級ボクサー、ジェイク・ラモッタをロバート・デ・ニーロが演じきった傑作。
一人の無敗のボクサーの、名誉と金と女からの転落人生を、全編白黒の映像でクールに描く。この役作りのために体重を27kgも増量させて臨んだデ・ニーロの演技はデニーロ・アプローチとして今や伝説に。この作品でデニーロはアカデミー主演男優賞受賞。
マネージャーである弟(ジョー・ペシ)との兄弟愛や葛藤もじっくり描かれています。






『ザ・ファイター』 2010年  監督:デヴィッド・O・ラッセル
 
脚本: スコット・シルヴァー、ポール・タマシー、エリック・ジョンソン
出演:マーク・ウォールバーグ、クリスチャン・ベール、エイミー・アダムス、メリッサ・レオ

Thefighter1

実在する伝説のプロボクサーと異父兄の家族愛、さらにはリングでの熱き戦いを描く感動作。地域の期待を一身に背負う名ボクサーだが、短気でだらしない性格から破綻した日々を送っている兄ディッキー(クリスチャン・ベイル)と、才能に恵まれていないボクサーの弟ミッキー(マーク・ウォールバーグ)。過保護な母アリス(メリッサ・レオ)や兄に言われるがままに試合を重ねるが、一度も勝利を収められず……。


脚本:ポール・ハギス
出演者 クリント・イーストウッド、ヒラリー・スワンク

Milliondollarbaby1_2

ボクシングに人生をかけた女性とそのトレーナーとの、「愛と尊厳」の物語。貧困の中ボクシングでの成功だけを信じて生きてきたマギー。彼女は成功のため、名トレーナーのフランキー・ダンが営むボクシング・ジムの門戸を叩く・・・。大ヒットしながらも、ラストで「尊厳死」の問題を扱った作品のため、宗教・政治団体からも賛否両論を受けた問題作!








『百円の恋』2014年 監督:武正晴
 
脚本:足立紳
出演:安藤サクラ、新井浩文

100ennokoi1

30歳を過ぎても親のすねをかじっている生きてきた一子。やむなく一人暮らしは初め、いつも行く百円ショップで働くことになった彼女が恋心を持ったのはストイックなボクサーだった・・・失恋の「痛さ」と戦うことの「痛さ」、この二つになりふり構わず挑み始める一子。安藤サクラが体当たりで女性プロボクサーを目指すニートを演じた、ボクシング恋愛映画






その他にも、チャップリンやバスター・キートンもボクシング映画を撮ってます。

『チャップリンの拳闘』 1915年
チャップリンの短編集の中にもボクシング作品がありました。
 

『拳闘屋キートン』 1925年
バスター・キートンのこの作品は、マ-ティン・スコセッシ監督が『レイジング・ブル』を撮った時に何度も見て参考にした作品。

偉大な無表情役者・キートンが、この作品では珍しく怒り心頭で相手ボクサーに反撃するらしい。キートンの主要作品は観ているがこの作品は未見。ぜひ手に入れて観たい!
 

※2017/10/24 動画等加筆
 チャップリンとキートンの作品はYoutubeで全編観られた。
 多分、パブリックドメイン作品。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2017.09.14

映画『華氏451』~好きな監督と作家の組み合わせ!


『華氏451』FAHRENHEIT 451(1966・英)112分

監督:フランソワ・トリュフォー

脚本:ジャン=ルイ=リシャール/フランソワ=トリュフォー

原作:レイ・ブラッドベリ

撮影:ニコラス・ローグ

音楽:バーナード・ハーマン

出演:オスカー・ウエルナー、ジュリー・クリスティ、シリル・キューザック、アントン・ディフリング

《あらすじ》
華氏451度は摂氏233度にあたり、紙(本)が自然発火する温度。

活字の存在しない未来の管理社会を描いたレイ・ブラッドベリの小説を映画化。
全てが機械化され、あらゆる知識や情報が全てテレビによって伝達される近未来を舞台に、本の存在意義に目覚めた男の姿を通し、文化破壊への非難をシニカルに描いたSF作品。

主人公モンターグ(オスカー・ウエルナー)は禁止されている書物の捜索と焼却にあたる有能な消防士だったが、クラリスという女性と知り合った事から本について興味を持ち始める。やがて読書の虜となった彼の前に妻の裏切りと同僚の追跡が……。

《感想》
十代から二十代にかけて夢野久作と並んで夢中で読んだレイ・ブラッドベリ原作の映画。なぜか今まで観る機会を失していて、やっと観れた。

この作品は全体主義批判や管理社会批判の映画と見られることが多いが、レイ・ブラッドベリ自身は『この作品で描いたのは国家の検閲ではなく、テレビによる文化の破壊』だと語っている。

アメリカでテレビ放送が始まったのは1940年。この小説が書かれた年(1953年)、日本ではNHKと日本テレビがテレビの本放送を開始。それから4年後の1957年、社会評論家の大宅壮一氏が「一億総白痴化」とテレビ批判をした。
今もって、テレビの功罪についていろいろ考えさせてくれる作品だった。

トリュフォー監督の色彩設計の鮮やかさや、ヒッチコック作品でお馴染みのバーナード・ハーマンの音楽の素晴らしさに引き込まれつつ、セリフを記憶に留めておきたくて、メモしながら二度見たが、結局、三度目は全編シナリオ採録してしまった。
いずれ改めて、ブログにアップします。

おまけ


『突然炎のごとく』(1962)でトリュフォー監督と意気投合していた主役のオスカー・ウェルナーだったが、『華氏451』では撮影が進むにつれて監督との関係が険悪なものとなっていったそう。

撮影中、ウェルナーは何かにつけてトリュフォー監督に反抗的になり、自分で目立とうと必要以上の演技や、階段を昇ったり逃亡したりのアクションシーンは拒否、勝手に髪を短くしてきて、挙句風邪を引いたりと周囲を困らせ、もう二度とオスカー・ウェルナーだけは使いたくないとトリュフォー監督を憤慨させたらしい。
この撮影中にウェルナーは『愚か者の船』で、ジュリー・クリスティは『ダーリング』でアカデミー賞主演賞にノミネートされ、ウェルナーは受賞ならず、ジュリー・クリスティは主演女優賞を受賞。

トリュフォー監督はこの撮影時の日記を記事として「カイエ・デュ・シネマ誌」に掲載して、後にそれをまとめて『ある映画の物語』として出版している。
撮影中のオスカー・ウェルナーとの確執が具体的にいろいろ書かれているよう。

オスカー・ウェルナーは俳優として彼なりに言い分があったのだと思うが……。

ただ、どんなに確執があろうと、降板はしてません(笑)


     

| | トラックバック (0)

2017.01.23

メキシコ国境に壁って・・・あの人、まさかこのドラマを観て・・・ということで、アメリカドラマ『ブル~ス一家は大暴走!』(Arrested Development)


昨年、一挙見したTVドラマの中の一つブル~ス一家は大暴走!』(原題: Arrested Development)

1話が30分弱なので、ついつい、スイスイ、見てしまいました。

シーズン1 全22話 放送2003年11月~2004年6月 FOX
シーズン2 全18話 放送2004年11月~2005年4月 FOX
シーズン3 全13話 放送2005年 9月~2006年2月 FOX
シーズン4 全15話 放送2013年 5月26日 Netflix一挙公開


この作品、根強いファンがいるみたい。

実は第1シーズンの視聴率は悪くて打ち切り寸前の一方、視聴者や批評家からの支持は高く、この第1シーズンはエミー賞コメディ部門で作品賞を受賞。
しかし、このままでは採算が取れないということで、FOXは第3シーズン終了の2006年に打ち切り決定。

ところが、2013年に新シーズンとしてNetflixで復活。
このあと、第5シーズンの製作も決まってるよう。
IMDb のエピソードガイドにシーズン5があるので、多分製作されるものと。


【内容】

カリフォルニア州オレンジカウンティの不動産開発で資産を築いたブルース一家。
社長である父、ジョージ・シニア(ジェフリー・タンバー)が引退したその日、父は不正会計で逮捕されてその資産は凍結されてしまう。この一家、家族全員が超個性的で、早く言えば変人ばかり。

唯一まともなのが次男のマイケル・ブルース (ジェイソン・ベイトマン)とその息子のジョージ・マイケル(マイケル・セラ)。マイケルは妻に先立たれ、今は独身。息子とは良い関係で良き父でもある。

そのマイケルが、いわゆる機能不全家族を養うために奮闘するというのがメインストーリー。サブストーリーは家族それぞれの個性に応じて、ハチャメチャです(笑)

Arrested_development1

左から:ウィル・アーネット、トニー・ヘイル、アリア・ショウカット、マイケルセラ、ジェイソン・ベイトマン、デヴィッド・クロス、ジェシカ・ウォルター、ジェフリー・タンバー、ポーシャ・デ・ロッシ


【主な登場人物】

マイケル・ブルース(ブルース家 次男):ジェイソン・ベイトマン
  妻に先立たれ、一人で息子を育てている。リンジーとは双子。
  この10年、ワンマンの父のもとでブルース社の経営を引き受けてきた。やがて
  父の引退の日、後継者に指名されると思っていたのに、父が指名したのは母。
  傷つき失望したマイケルはブルース一家と縁を切り、自分の道を歩み始める。
  しかし、母に会社経営などできるはずもなく、呼び戻され・・・。

ジョージ・マイケル・ブルース(マイケルの息子):マイケル・セラ
  シャイで素直で心優しい青年。従妹のメイビーを好きになるが・・・。

ジョージ・ブルース・シニア(ブルース家 父):ジェフリー・タンバー
  大企業ブルース・カンパニーのCEO。シーズン1の1話で不正経理で逮捕される。
  刑務所に服役中もCEO気質が抜けず、我がままを言っては会社を任せたはず
  のマイケルを支配しようとして、マイケルを困らせる。
  双子の弟、オスカー・ブルース(二役)がいて、なんともややこしい話に・・・。

ルシル・ブルース(ブルース家 母):ジェシカ・ウォルター
  CEOの妻気質が抜けずいつもゴージャス。終始、高圧的で浪費癖あり。

ジョージ・オスカー・ブルース2世(ジョブ)(ブルース家 長男):ウィル・アーネット
  プロのマジシャン。ある時、公の場でついマジックの種明かしをしていまい
  マジシャン連盟から除名されてしまう。以来、なかなか舞台復帰ができず
  迷走。プライドだけは異常に高いために、普通の仕事はムリっ。

バスター・ブルース(ブルース家 三男):トニー・ヘイル
  ルシルが夫と間違って、夫の双子の弟・オスカーと寝てしまい生まれた子供。
  知的障害(あるいは行動障害)とパニック障害があり、ルシルが溺愛したため
  スーパー・マザコンに。

リンジー・ブルース・フンケ(ブルース家 長女):ポーシャ・デ・ロッシ
  医者の妻になって何不自由ない生活・・・のつもりだったが・・・実は夫は
  とんでもない奇人変人だった?!  贅沢な環境で育ち母に似てゴージャスな
  ライフスタイルから抜けきれない。
  
トビアス・フンケ(リンジーの夫):デヴィッド・クロス
  もと精神科医。なのだが、あるとんでもない医療ミスをしでかし病院をクビに。
  それを機会に、夢だった役者の道を歩みだす。しかし、勘違いも甚だしく・・・。
  裸恐怖症で妻のリンジーにも裸を見せられないとか最高の変キャラ。

メイビー・フンケ(リンゼイの娘):アリア・ショウカット
  非現実的な両親の間に生まれたにもかかわらず超現実的でしっかりしている。
  まだ10代にもかかわらず年齢を偽って映画会社に潜り込み、プロデューサー
  として大活躍。

ナレーター:ロン・ハワード


【見どころ】


◆製作総指揮&全シリーズ全話のナレーターはあのロン・ハワード

Ronhoward_2

ロン・ハワードと言えば映画『コクーン』(1985年)、『アポロ13』(1995年)、アカデミー賞作品賞・監督賞の『ビューティフル・マインド』(2001年)、『ダ・ヴィンチ・コード』 (2006年)、『天使と悪魔』(2009年)などの監督、テレビドラマ『24 -TWENTY FOUR-』のプロデューサーとしても有名。

両親が俳優で子供の頃から役者としても活躍しており(子役時代の名前はロニー・ハワード)、テレビシリーズ『メイベリー110番(原題:アンディ・グリフィス・ショー)』などで人気だったらしい。

『ブル~ス一家は大暴走!』ではナレーションだけでなく本人役でもかなり出演してます。
特にシーズン4では、ブルース一家をモデルにドラマを作るという話がロン・ハワード監督から出て、マイケルがその件でロン・ハワード監督のイマジン社に打ち合わせに行くシーンが。

その時のロン・ハワード監督とマイケルの会話で、まず『メイベリー110番』が40年ぶりに復活か?という話が出たり、オフィスにでんと置かれた月面着陸船の中で打ち合わせして、『アポロ13』の話が出たり、ロン・ハワード監督の作品着想のヒントが明かされたりと裏話が聞けて、かなり面白い!


◆シャーリーズ・セロンがゲスト出演!


英国人街でマイケルが出会い一目惚れした英国訛りイングリッシュの超美人。
愛らしく、純真無垢で、無邪気。話によると幼稚園の先生らしい。マイケルは英国籍の彼女がアメリカに滞在できるよう彼女との結婚を決めるが、ブルース一家は大反対。
ところが、ある事実が発覚してブルース一家はリタとマイケルの結婚に超乗り気に。

その事実とは、リタは実は知的障害者。「幼稚園に行く」のは先生だからではなく、彼女は園児だったのだ。
ではなぜ、ブルース一家がそんな彼女との結婚賛成に転じたか・・・理由は明快。リタは莫大な財産を持つイギリスの大金持ちだったから。
すべてを知ったマイケルは、リタの財産に態度を一変させた家族に激怒。そして、二人の結婚は・・・。

シーズン3(2005)のエピソード2から6まで5エピソードに登場。最初にリタを見た時、「まさか、シャーリーズ・セロン?!」とIMDdでキャスティングを調べたほど。で、本物のシャーリーズ・セロンでした。

リタの保護者である叔父さん曰く。
「アメリ人は(彼女が知的障害者とは)気づかない。彼女の発音と整形のせいだろう。去年なら問題なかった」

そしてインサートされた1年前の写真というのが・・・な、なんと、映画『モンスター』(2003)の連続殺人犯アイリーン・ウォーノスの顔写真!!!

Blues0

映画『モンスター』(2003):実在の連続殺人犯アイリーン・ウォーノスを描き、シャーリーズ・セロンは体重を13キロ増やし、特殊メイクでアイリーン・ウォーノスを熱演。この役でアカデミー賞女優賞受賞。

1年後のリタ・・・

Blues1

Blues3










こんなキュートな姿も ↓
リタは、いつもピヨコちゃんバックを背負ってる(笑)

Blues22

Blues2











◆ベン・ステイラーやセス・ローゲンもゲスト出演

ベンス・テイラ―は長男ジョブのライバル・マジシャンとして登場。

Blues4

 Blues5




 




お互いに相手の弱みを握るためにゲイを装って接近するが・・・。
なぜか。妙な雰囲気に・・・。

◆あのライザ・ミネリがセミ・レギュラー

この人も、「まさか本人?!」と思ってしまった・・・

Cabaret_2

Blues8_3

  











『キャバレー』(1972年)でアカデミー賞主演女優賞(26歳)→2003年で57歳

50代でもお色気があってゴージャス! 現在は71歳です。


◆主人公親子は『JUNO』でも共演

主人公の父と息子は『JUNO』(2008)でも共演。

Juno1_2


息子のマイケル・セラはジュノの子供の父親。
ジュノの気持ちが分からなくてオロオロしてたけど、
最後は二人、ハッピーエンドで良かった良かった!








Juno2_2

お父さんのジェイソン・ベイトマンは、ジュノの
子供を養子として望む夫婦の夫役。

まだ父親になる覚悟ができてないからと
逃げちゃったあの役。






◆その他

Figureskate_2


ウィル・アーネットは昨年後半に観たばかりの
『俺たちフィギュアスケーター』(2007)に、
ウィル・フェレルとジョン・ヘダーの男性ペアの
ライバルとして実際の奥さん(当時)と双子の
スケーター役で登場。


Blues9_2

ポーシャ・デ・ロッシは『アリーmy Love』のネル役。
『アリーmy Love』は当時仕事をしていたプロデューサーから、こんなドラマを作りたいと言われて、ビデオ屋さんに置いてあるだけのVHSビデオを借りて見まくった作品。アリーと違うタイプのネルはクールでかっこ良かった! そのネルをこの作品で久々に観て満足! 





◆さて、最後に話題の(笑)メキシコ国境の壁建設問題


メキシコ国境に壁を建設するという話はシーズン1~3(2003~2006)でも出ていたようだけど、本格的に建設話が出て来るのがシーズン4(2013)。

Arrested_development2

まず父と母(刑務所に服役中)がメキシコ国境の壁建設を決めます。

そして、父が政治家に壁建設を持ちかけます。その政治家は右翼の変人と言われる政治家ハーバート・ラブで、父に賄賂を要求。

Arrested_development3

Arrested_development4








父は母が孫に整形手術代として送った5万ドルの小切手をくすねて、ハーバート・ラブに賄賂として贈ります。

Arrested_development5

Arrested_development6









するとハーバート・ラブは早速、メキシコ国境の壁建設をテレビで主張し始めます。

ところが、父と母は信じられない勘違いに気が付きます。

メキシコ国境の壁建設を政府に働きかけたのは、実は自分たちの土地がメキシコ国境のアメリカ側にあり、壁を造ることで自分達の土地をアメリカ政府に買い上げさせるのが目的でした。

しかし、実際に政府からの国境の測量が開始されると、自分たちの土地はアメリカ側ではなくメキシコ側にあるという事実が発覚。

Arrested_development7

父と母が信じていた地図は大学で地図作成を学んだという三男のバスターが描いたもので、全く信頼できない地図だったのです・・・。

※三男バスターはその言動から知的障害や行動障害など何らかの障害があると思われるけど、ドラマ内の説明では「大学院生で、大学では全学科を専攻。先住民の儀式から新航路の地図作成まで学んだ」ということになっている。

アメリカ政府に土地を売ることができないと分かると、今度はハーバート・ラブの対立候補(ライザ・ミネリ)に「壁建設反対」を働きかける。

メキシコ国境の壁建設はシーズン4ではここまで。どうなるかはシーズン5に持ち越されそう。

このドラマの中では、メキシコ国境の壁建設は自分達の土地を政府に買い上げさせるという欲まみれの発想。

当然、メキシコ人たちが壁建設に反対して暴動を起こすというミニ・エピソードも盛り込まれています。

このドラマ全話を見たのが昨年の11月。トランプ氏のメキシコ国境の壁建設話とリンクして「まさか、このドラマが新大統領の発想のヒントに? そんなアホな・・・」と一人で大爆笑。単純で通俗的なトランプ氏ならありうるなぁとか。

荒唐無稽なメキシコ国境の壁話って、合衆国では一部の人たちにとって、昔からある発想なの? 
果たして表向きの理由だけなの?
一兆円はかかると言われている国境の壁、このドラマのブルース夫妻のように土地が売れて潤う一部の人はいないの?

他国のこととはいえ、現実もドラマも、今後の成り行きから目が離せませんね(笑)

【参考記事】

 映画から読み解く「メキシコ国境の壁」

『ワールドシネマ・スタディーズ 世界の「いま」を映画から考えよう
     小長谷有紀、鈴木紀、旦匡子(著)勉誠出版


| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016.09.12

キーラ・ナイトレイの歌が最高!映画『はじまりのうた BEGIN AGAIN』



『はじまりのうた BEGIN AGAIN』 2013年 104分  アメリカ

監督・脚本:ジョン・カーニー
出演:キーラ・ナイトレイ、マーク・ラファロ、アダム・レビーン、ヘイリー・スタインフェルド、ジェームズ・コーデン、シーロー・グリーン、キャサリン・キーナー
音楽:グレッグ・アレキサンダー

【Logline】
恋人に裏切られた失意のシンガーソングライターが、落ち目の音楽プロデューサーと出会うことで、音楽を通じて運命を切り開いていく物語。


【Story】
 自作の曲が映画に採用された恋人のデイヴ(アダム・レヴィーン)とともにイギリスからニューヨークへやってきたシンガーソングライターのグレタ(キーラ・ナイトレイ)。しかし、デイヴの浮気が発覚、彼と暮らす部屋を飛び出て、友人のミュージシャン、スティーヴ(ジェームズ・コーデン)を頼る。

 スティーブは失意のグレタを励まそうとライブバーに連れていき、彼女を無理やりステージに上げる。
 そこに偶然居合わせた落ちこぼれの音楽プロデューサー、ダン(マーク・ラファロ)はグレタの才能に惚れ、彼女にデビューの話を持ちかける。

 ところが、その録音はニューヨークの街角で行うという。
 セントラルパークやチャイナタウン、橋の下、路地裏、ビルの屋上、地下鉄のホームなど、グレタのゲリラレコーディングは続いていくが、この無謀な企画が小さな奇跡を起こし始める。

 やがてアルバムが完成したその日、誰も予想できなかった最高のはじ まりが待っていた……。

【コメント】

「君は美人だし、きっとヒットする」
というマーク・ラファロに対して
「顔が関係あるの?音楽に大事なのは耳よ。目じゃないわ。私はスターを夢見たジュディ・ガーランドとは違う。悪いわね」
と名刺を突き返す気難しいシンガーソングライターのキーラ・ナイトレイ。

「君が本物だと思うアーティストは誰だ?」と聞かれ即座に答えたのは「ディラン」。
すると「あいつこそ印象重視だ。髪型にサングラス、10年ごとに変えてる」。

確かに映画『アイム・ノット・ゼア 』 (2007)では6人のイメージの違うボブ・ディランが登場している(女優ケイト・ブランシェットが演じたボブ・ディランが一番カッコ良かった!)

『はじまりのうた』は音楽業界のバックステージものとしても面白かった。

また第一幕の構成がちょっと凝ってる。
グレタとダンの出会いが、時系列を戻して、それぞれの立場から描かれているのだ。

また、キーラ・ナイトレイが歌う曲はすべて彼女自身が歌っている。
冒頭にギター一本で歌う『Lost Stars』から彼女の歌声に魅了された。
こんなに生き生きと可愛いキーラ・ナイトレイは『ベッカムに恋して 』(2002)以来かも。

劇中歌『Lost Stars』は第87回アカデミー賞の歌曲賞にノミネート。




マーク・ラファロはなぜかどの作品を見ても『刑事コロンボ』のピーター・フォークとイメージが重なる。
アネット・ベニングとジュリアン・ムーアがレズビアンカップルを演じた『キッズ・オールライト 』(2010)だけはなぜかすごくカッコ良く見えたんだけどねえ。

『はじまりのうた BEGIN AGAIN』 ふわっと幸せな気分になれるいい作品でした。

Netflix  で視聴。
dTV  は+課金で10月30日まで視聴可。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016.09.06

スティーヴン・キング原作、ジョニー・デップ主演のミステリー『シークレット ウインドウ』

『シークレット ウインドウ』 SECRET WINDOW 2004年 96分 アメリカ

監督・脚本: デヴィッド・コープ
原作:スティーヴン・キング 『秘密の窓 秘密の庭』
音楽:フィリップ・グラス
出演:ジョニー・デップ、ジョン・タトゥーロ、マリア・ベロ、ティモシー・ハットン、チャールズ・S.ダットン

【Logline】
妻の浮気による別居からスランプが続いている人気作家が、過去に葬った盗作疑惑のことで脅迫を受けて追い詰められていく中、ある衝撃の真実が見えてくる。

【Story】
 人気作家モート・レイニー(ジョニー・デップ)は、別居中の妻エイミー(マリア・ベロ)との離婚協議による疲労のため公私共にスランプに陥っていた。

 そんなある日、彼の家にシューター(ジョン・タトゥーロ)という男が現われ、モートが自分の小説を盗作したと主張。
 モートは身に覚えは全くなかったが、シューターは執念深 くモートを追い詰めていく。

 モートは友人の探偵ケン(チャールズ・S・ダットン)に調査を依頼。
 しかしエイミーの家が燃え盗作疑惑を晴らす証拠を失い、 シューターの目撃者やケンが殺害される不可解な事件が重なる。

 モートはシューターを操る影の存在について、エイミーの今の恋人、テッド(ティモシー・ハットン)を疑い始めるが・・・。


【コメント】
主人公の状況設定は『思いやりのススメ』とほぼ同じ。
◆仕事は小説家
◆子供を亡くす
◆妻と別居
◆離婚協議中。主人公が離婚届に判を押さない
◆スランプで小説が書けなくなる

あまりにもバックストーリーが似ているので、ジャンルが違うとこうも作品が違ってくるのかと、ちょっと感心(笑)
こちらはスティーヴン・キング原作のミステリー。
だが、最初の数シーンで主人公の抑圧された感情が描かれているので、その後の展開がほぼお見通し。
この作品の少し前に『ファイト・クラブ』(1999)や『メメント』(2000)という名作が作られ、同年には『マシニスト』(2004)という異色作も。
それらを超えるくらいのドンデンがないので凡作になってしまった作品。
若いジョニデやジョン・タトゥーロを楽しむにはいいけど。
ちなみにジョン・タトゥーロは監督・脚本・主演した『ジゴロ・イン・ニューヨーク』 (2013年 共演ウディ・アレン)が最高に渋い!
dtv で930まで視聴可。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2016.09.05

筋ジスの少年+介護士+セレーナ・ゴメスのロード・ムービー『思いやりのススメ』


『思いやりのススメ』 Fundamentals of Caring 2016年 97分

アメリカ Netflixオリジナル

監督:ロブ・バーネット
脚本:ロブ・バーネット、ドナ・ジリオッティ、ジェームズ・スパイズ
原作:ジョナサン・エヴィソン
出演:ポール・ラッド、クレイグ・ロバーツ、セレーナ・ゴメス、ジェニファー・イーリー、ミーガン・ファーガソン、フレデリック・ウェラー

【Story】
 ベン・ベンジャミン(ポール・ラッド)は新米介護人。ある悲しい出来事がきっかけで作家をやめ、介護士に転身した。妻とは別居し、離婚するように迫られているが、どうしても書類にサインをすることができない。

 ベンは6週間の介護士研修を受け、トレバー(クレイグ・ロバーツ)という初めての依頼人と出会う。
 トレバーは筋ジストロフィーという進行性の不治の病に冒され、車椅子生活を送っている。全身の筋肉が衰えていく病気で、やがては呼吸すらできなくなってしまう。トレバーは母親と二人暮らしで、彼女が仕事に出かけている間の介護人としてベンが選ばれた。しかしトレバーは病気のせいか独特のユーモアと気難しさを併せ持っており、介護人もなかなか長続きしないのが常だった。

 そんなある日、あることがきっかけでトレバーがいつも地図で眺めていた「世界で一番大きな牛」とか「世界で一番大きな穴」などを見るための旅に出る。
 2人はその道中、家出してきた生意気な少女・ドット(セレーナ・ゴメス)や若い妊婦ピーチズ(ミーガン・ファーガソン)と出会う。
 彼女たちをとおして、2人は想定外の状況下でも生きてゆくための自分たちのスキルを試され、やがて希望をもつことの大切さや真の友情とは何かということを理解するようになる。 

【コメント】
 ワシントン州シアトル(多分この辺?)出発→アイダホ州(ドットとの出会い)→モンタナ州(ピーチズ同乗)→ユタ州→ソルトレーク→「世界で一番大きな穴」

 この道中にいろいろな事件が起こり、そして最後に・・・。

 ある出来事のために、作家として行詰まり介護士になった男と筋ジストロフィー症少年のロードムービー。ジャンルで言えば障害者ドラマになるんだろうけど、日本の障害者ドラマとはちょっと違う。

 アルフレッド・アドラー的にいうと、登場人物たちが、自分と他者との「課題の分離」(仕事の課題<交友の課題<愛の課題)が出来ているので、一方的な感情の押しつけによるベタベタ感がない。

 途中から加わる生意気なヒッチハイカーの少女・ドット(セレーナ・ゴメス)もキャラが個性的。
 ストーリーもキャラ設定も全体的にとても好きになった作品。


 まず、印象に残ったのは介護の基本の「ALOHA」
 A ASK     (問いかけて)
 L Listne    (聞いて)
 O Observe   (よく見て)
 H Help     (手伝い)
 A Ask Again (また問う)
  なるほどアロハ!

Slimjim_2

 一番ハラハラしたのは、旅が始まって間もなくベンは旅のお供にゃこれだろうなどとスリムジム(サラミ)を食べるようトレバーにけしかけるシーン。

 トレバーの食事は彼の母親がメニューを決めておりワッフルとソーセージと決まっている。でも、これには理由があるんだよね。筋ジストロフィーの場合、症状が進んでくると嚥下する筋力も衰えてくるので、喉に物が詰まらないようにとの配慮から。
 なのでベンがしつこく食べるようにけし掛けるのでハラハラしてしまった。
 一瞬、ヒャッとするものの、トレバーは自分の身体のことはよく分かっており・・・最後は笑わせてくれました。

 ロードムービーであると同時に、三組の親子の物語でもある。
 ベンと亡くなった息子。
 トレバーと彼から逃げた父親。
 ドットと彼女が棄てた父親。
 旅の終わりには、それぞれが自分なりの結論を見出します。

 メインのロードムービー・プロット、それぞれが抱えるサブ・プロットが上手く収斂され観終ってホッとできる作品でした。

Netflixオリジナルフィルム
http://www.netflix.jp

| | コメント (0) | トラックバック (0)

より以前の記事一覧