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2011.03.31

●「エネルギー政策は、短期と中長期を分けざるを得ないのではないか(マガジン9より)」

森永卓郎さんといえばすっかりタレント化してしまった経済学者。
以前は経済学者としてのスタンスがハッキリしていたけれど、最近はどのスタンスで発言しているのか不明のフツーのコメンテーターになってしまった感が。

ドーデモ良いイロもの寸前のコメンテーターに堕したか・・・と思っていたけど、「マガジン9」の記事を読んで、知りたかったことが分かり易く述べられており、「さすが視聴者目線の森永さん!」と改めて見直した。

以下、「マガジン9」より引用。


【エネルギー政策は、短期と中長期を分けざるを得ないのではないか】

 東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所の爆発事故は、日本はおろか、世界中を不安に陥れ、そして人や経済に様々な被害を及ぼした。これで、日本に新しい原子力発電所を作ることは、もう二度とできなくなるだろう。

 このコラムを読んでいらっしゃる方の多くが、もともと原子力推進に反対されていると思うので、今回はあえて、「短期的にみれば、原子力発電所を再稼働させる必要があるかもしれない」という話をしたいと思う。

 震災の後、3月14日から東京電力がスタートさせた計画停電は、いまだに大きな損害を与え続けている。通勤電車が間引きされているため殺人的なラッシュが生まれ、電車がいつくるか分からないので移動の時間が読めなくなり、車に切り替える人が増えて道路は渋滞し、物流が停滞する。そして、停電でモノ作りの現場が、フル稼働できなくなっている。こんな状態で、地震からの復興ができるはずがない。電力は経済や生活の基盤なのだ。

 ところが、電力供給の先行きには暗雲が立ち込めている。現在は電力需要が一番低くなる時期なので、東京電力管内の電力需要は、3000万キロワット程度だが、これから夏場にかけてエアコンの需要が出てくるので、夏のピーク時の需要は、現在の2倍程度に増える。不需要期のいまでさえ電力が足りないのだから、夏のピーク時に電力が足りなくなる可能性は非常に高いと言えるだろう。それまでにあらゆる電源供給の増加策を採ったうえで、私は最後の選択として、休止や定期点検中の原発を再稼働する必要が出てくるのではないかと考えている(※注1)。ただし、その前にやらなければならないことがある。

 第一に、完全な情報公開だ。
計画停電が始まった3月14日、東京電力の発表では、電力使用のピークとなる午後6~7時の需要が3400万キロワットと見込まれるのに対して、供給力は3300万キロワットにとどまり、100万キロワットの供給力不足が生じるということだった。ところがフタを開けてみたら、需要は2800万キロワットにとどまり、500万キロワットも供給余力が残っていた。
もちろん、これだけ電力が余ったのは、国民が節電に協力したからだが、節電がこれだけできるのだったら、最初から計画停電などやらなければよかった。

計画停電の可能性があるというだけで、電車や工場が止まり、道に車があふれるからだ。計画停電をしなくても、本当に大規模停電になりそうなくらい電力需給が逼迫したら、テレビやラジオ、ネットなどを通じて、「みなさん電気をいますぐ切って下さい」と呼びかければよい。国民は一斉にスイッチを切るだろう。それで停電は防げる。そうした仕組みを取るためにも、まず、東京電力はリアルタイムでその時の供給能力と需要を国民に知らせるべきだ。本当の危機がきているのが分かれば、多くの国民が、普段以上に節電するだろう。

 もう一つ情報公開が求められるのは、いまの電力供給能力の根拠を示すことだ。
いまの東京電力の供給能力は3000万キロワット台しかないというのだが、普段の供給能力は6000万キロワット以上あるはずだ。そうでなければ夏のピーク需要に応えられない。
それが、今回の地震でストップした原子力発電所と火力発電所だけで、ピーク時需要の半分にまで供給能力が減るものなのだろうか。
柏崎刈羽の原発事故のあと、東電は管内の原発を一斉に止めたが、電力不足は起きなかった。国民の不安をなくすためにも、発電所ごとの内訳を含む供給能力を示し、(※注2)同時に復旧計画を踏まえた将来見通しを発表すべきだ。

 第二に、可能な限りの供給能力拡大策を採ることだ。
現在、西日本から電力の融通を受けているのは100万キロワットで、これが限界だという。東西で電源の周波数が異なるため、周波数変換装置を介さないと送電ができないのだが、現状、装置の能力が100万キロワットしかないからだ。

しかし、日本には世界に冠たる重電メーカーがいくつもある。本気を出せば装置の増設はできるだろう。また、火力発電所を短期で立ち上げるのはむずかしくても、風力発電所や太陽光発電所などの自然エネルギーの発電所を立ち上げることは、不可能ではないはずだ。(※注2)

 第三に節電を徹底することだ。
今回の原発事故では、住宅だけでなく、駅や高速道路などの照明が消されるなど、あらゆる場所で節電が行われた。そうしたもののなかでは、いざ消してみたら、さほどの不便にはつながらなかったというものが多い。だから、そうしたものは、当分の間、節電を続ければよい。
もちろん、鉄道などは元通りに戻さなくてはならない。しかし、東京電力が大口需要先として鉄道業に売っている電力は、全体の2%に過ぎない。だから、節電のために鉄道を止めるなどということはしなくてよいのだ。

 こうした対策をきちんとやったうえで、それでも、もし本当に夏場の電力が足りなくなるというのであれば、徹底的な安全確認のうえ原子力発電所を再稼働させればよいと思う。

 一部には、今回の計画停電は、原子力発電所の再稼働を働きかけるために、あえてやっているのだという説もある。それが正しいかどうかは、残念ながら詳細なデータがないので、いまのところ分からない。

 ただ、仮に原発を再稼働させるにしても、中長期的に日本の電力をどのようにまかなうのかという議論をいますぐ始めればよいと思う。
幸いにして、日本の新エネルギー技術はどんどん進化していて、効率も高まっている。そうした技術を活用するなかで、原発をゆるやかに安楽死させていけばよいのではないだろうか。(※注1)

「マガジン9」:「森永卓郎の戦争と平和講座」第48回より

(※注1)森永さんの意見でも賛同できない部分。確かに現実に立脚した経済学者と
     しての意見だと思う。しかし、多くの犠牲を強いられている福島県民のため
     にも原発の再稼動には反対です。

(※注2)私が知りたいと思っていること&森永さんに強く賛同する意見。

     公共放送までもが率先して連日「電力不足=計画停電」を連呼しているけど、
     東電保有の全発電所の発電量内訳は示されず、また原発を優先したため
     部分休止している分の火力発電がどうなっているのか報道されていない。

     原発事故=電力不足=計画停電で、なんの選択肢も示されず思考停止
     させられているようで、このままでは納得できない。

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2011.03.15

●原発事故:世界各国に衝撃

<福島第1原発爆発>世界各国に衝撃 日本技術の信頼低下も(毎日新聞)

 東京電力福島第1原発の相次ぐ水素爆発や燃料棒の露出は、世界各国に衝撃を与え、技術大国日本の「安全神話」を揺るがす事態になっている。

 米CNNや英BBCはじめ欧米メディアは「(旧ソ連で86年に起きた)チェルノブイリ原発事故の再発を防げるのか」などと日本政府の対応に批判的な論調を強めている。スイス紙NZZ・アム・ゾンタークは、ビルディ・ジュネーブ大教授の話として「日本政府は事故の重要性を低く見積もっている。被ばくの危険性を低レベルに公表しているが、半径20キロ圏外に住民を避難させた事実は原発を制御できていない証拠」と伝えた。

 インド:日印原子力協定交渉への影響を懸念する声が広がっている。ニューデリーのシンクタンク「エネルギー資源研究所」のダディッチ上席研究員は「世論が(日本の原発技術に)厳しい目を向ける可能性が高い」と指摘。シン首相は14日、国内20カ所の原発で安全対策の再点検を命じたことを明らかにした。

 韓国:青瓦台(大統領府)は任太熙(イム・テヒ)大統領室長が緊急会議を開催し、放射性物質の周辺国への影響などが論議された。聯合ニュースによると、2月に放射能漏れ事故を起こした大田市の研究用原子炉の再稼働が14日、「安全に万全を期す」という当局の判断で、15日に延期された。

 米国:クリーンエネルギーの一つとして原発促進政策に転換した米国では、複数の議員から原発見直しを求める声が上がっている。民主党のマーキー下院議員は、連邦政府が緊急事態への対応策を強化するまで、新規建設計画の一時停止を求める手紙をオバマ大統領に送った。米国では31州65カ所の発電所で104基の原子炉が稼働し、総電力の2割をまかなっている。オバマ大統領が提案した360億ドル(2兆9520億円)の原発建設融資策を巡り、議会で議論を呼ぶのは必至だ。

 ドイツ:ウェスターウェレ副首相兼外相は14日、連立与党が昨年、法制化した原発利用延長の凍結も含めた原発政策見直しを記者団に表明。連立与党は09年の発足から一貫して原発利用延長に積極的だったが、ドイツが原発政策で再び転機を迎える可能性がある。

 英国:中断していた原発建設を再開し、25年までに原発10基を新設、電力供給量の4割を原発がまかなう政策を推進しているが、政府は今回の事故を機に、安全面を中心に原発懐疑論が高まることを警戒している。

 オーストラリア・イスラエル・フィリピン・タイ:
 
日本の事故を受け、オーストラリアのギラード首相やイスラエルのネタニヤフ首相は自国での原発建設に反対する姿勢を表明。フィリピンの大統領府副報道官も凍結中の原発の再稼働を否定した。20年に初の原発の操業開始を目指していたタイのアピシット首相も、「(原発に消極的な)私の意見は皆知っている。日本の出来事がわが国の意思決定にどう影響を与えるか、検討している」と述べた。

 中国:原発の冷却装置が機能しなかった点に注目が集まっているが、「第一財経日報」は「中国の新型原発では冷却をめぐる問題は生じない」と報道。原発専門家の話として、中国の新型原発は原子炉の上部に数千トンの水をためるようになっており、非常時には動力なしでも重力で水が落下して冷却する仕組みのため問題は起きないとしている。

 ロシア:国営原子力企業ロスアトムの当局者は、旧ソ連で86年に起きたチェルノブイリ原発事故では炉心溶融から爆発につながった点を取り上げ、現時点では福島第1原発の原子炉が爆発する可能性は小さいと指摘する。ただロシアは1月に日本との原子力協定を批准したばかりで、日本企業の技術に着目してきたが、事故を受けて、日本製技術の安全性について再考する可能性もありそうだ。

 イラン:中東初となるブシェール原発を近く稼働予定のイランは計画を続行する方針。国営通信によると、原子力庁のラストハ副長官は福島第1原発のケースについて「(原子炉が入る)金属製の構造物自体は破壊されておらず、放出された放射性物質は少ない」とし、似た構造のブシェール原発の安全性を強調した。

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「東京に原発を!」派としては原発が決してクリーンなエネルギー供給装置ではないことなど、いろいろ言いたいことはある。


しかし、結局、原発による電力を享受してきた訳で、今は安全性などについて論ずる場合ではない。


現場で尽力される原発関係者そして地元の人々への被爆が最小限でありますよう、これ以上重篤な事態にならないよう、祈り続けるしかない。



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