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2011.08.15

●陸前高田・被災松、大文字送り火騒動経過

 お盆の迎え火・送り火はご日本の伝統的宗教行事であり、東北大震災でお亡くなりに
なった人々へのご供養として京都・五山送り火で陸前高田の松が焚かれることには、
何の異論もない。ただし、福島の原発事故さえなければ・・・・・。

 犠牲になられた人々を悼む気持ちはもちろん、大震災の痛みは日本人全てで分かち
合いたいと思う。

 しかし、原発事故由来の放射能汚染に関してはどうか? 
 痛みを分かち合うために、日本全土に放射能汚染を広げる?
 それは違うと思う。

 個人的には、関東に住んでいる私自身は原発事故前に比べたら多くの放射線を浴び
ているだろうし、その事実を受け入れて、ここで生きていくしかないと覚悟している。

 だからこそ、まだ原発放射能汚染がひどくない地方には、汚染を広げてはいけないと
思っている。 

 かつて、京都市内に13年住んで、五山の送り火を見てきた。
 五山のうち、とくに「大文字」は夜空に赤々と燃え立つ「大」の字は壮大で、よく山火
事にもならずにあれだけの野焼きが出来るものだと、伝統を守る人々の想いに感動し
たものだった。

 震災で亡くなられた人々のご供養が、この五山の送り火でできたら、どんなにかいい
だろうとは思う。

 文化の視点から見るか、原発事故という科学の破綻から起きた現実を重視するか、
難しいところだ。 

 とにかく、まずは起こった事実を知っておきたい。ということで経過を整理してみた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

『陸前高田市・被災松-京都・送り火問題』経過


◆5月1日~ 復興支援薪+αプロジェクト  http://www.fukkou.org/

  福井のNPO法人、陸前高田の高田の松原の松などを「復興支援“薪”」などに
  加工して販売開始。
           NPO法人ふくい災害ボランティアネット  代表 東角 操
               復興支援薪+αプロジェクト 担当責任者 佐々本 尚

◆5月15日~ 岩手復活の薪プロジェクトhttp://kirikirikoku.main.jp/index.html

           復活の薪を生産・販売 10kg.500円
           岩手県大槌町吉里吉里

◆5月20日 福井・復興支援薪プロジェクト 試験分析結果

  塩害の有無について、流木(松)、りんごの木、柱を検査。

  試験分析成績書
        
http://www.fukkou.org/home/shi-yan-cheng-ji-cheng-ji-shu

    検査表  検査機関: 福井県工業技術センター
         依   頼: NPO法人 ふくい災害ボランティアネット
         代   表: 東角 操
         結   果:
           松の生木:中心部、樹皮からストロンチウム検出
           (りんごの木・柱からも中心部と端部からストロンチウム検出

   ※塩害の有無の確認のための単なる成分解析であり、そもそも放射性
     
物質を測れない検査。
     安定した性質のストロンチウムは自然界にも存在し花火等でも使わ
     れる。
     被曝が懸念されるのは、放射性ストロンチウム90。この時点で検出
     されたものか、そのどちらであったのか、また検出量などは不明。

◆6月初 大分県の美術家で薪ストーブ愛好家の藤原了児氏、岩手の薪割り
      プロジェクトへ
ボランティアとして参加。


      薪を大文字保存会に買い取ってもらい被災者支援に充てると同時に、薪を送り火
   として使ってもらうことを思いつく。

◆6月12~17日 藤原氏「大文字送り火に陸前高田の松プロジェクト」実施

◆6月14日 藤原氏、陸前高田に

  
まだ正式に陸前高田の松を大文字の送り火の薪に使いという許可は得ておらず。

◆6月16日 藤原氏に大文字保存会より薪受け入れの返事

  京都大文字保存会「15束、名前を書いたものを受け入れます」「岩手で作った
  送り火用の薪に、亡くなられた方の名前や願いを入れたものを保存会として受け
  入れ、大文字の送り火で供養させていただきます」と返事。


  http://okuribi.hujikumi.com/pg129.html

◆2011年 6月18日 岩手日報社記事「高田松原の松 鎮魂の『大文字』に」

  http://okuribi.hujikumi.com/pg146.html

◆6月19日 藤原氏、京都・大文字保存会会長に1束10本の「陸前高田
               
送り火マツ」の見本を届ける。

◆7月8日  高田松原の成分分析 として藤原氏サイトに分析結果表をUP

◆?月?日 藤原氏サイトより分析結果表が削除される

◆メディア 美談として報道

◆一方、6月末以降、京都市や関係者の自宅に「放射能汚染された灰が飛ぶ」
  などと抗議の電話やメールが寄せられるようになる。

◆7月?日 京都より藤原氏に検査依頼

  京都大文字保存会「放射能で汚染された薪を送り火で使うのは問題だという
  抗議を受けた。大文字保存会の方でも、何とか使いたいので、安全だという証明
  が欲しい」
  
http://www14.atwiki.jp/kyoto-henkouhoudou/pages/15.htm

◆7月10日 復興支援薪プロジェクト 後藤勇一氏(元福井市議)ブログで意見 

  京都よりの検査依頼に対して
  「京都の人たちは、福井の原発の電気を使っているのですから、放射能を受け入れ
   るぐらいの気持ちで電気を使って欲しいです」

  上記発言は間もなくブログから削除された。

  http://gogo510.net/?p=1017

◆7月13日 藤原氏、大分県の薬剤師検査センターに依頼して陸前高田の
        薪の
放射能検査実施。

         http://huji.hinamaturi.lolipop.jp/?eid=1437067

    検査 採取 6月15日   受付 7月13日  結果 7月19日
  結果 放射性ヨウ素、放射性セシウム不検出
     検査表画像 http://okuribi.hujikumi.com/pg147.html

     検出限界 10Bq/kg:10Bq/kg以下だと1~9Bq/kgあっても
      検出されない


◆同じ頃 京都・大文字保存会、「京都で作った送り火の薪」と「陸前高田の松」
 を島津製作所・島津テクノリサーチにて検査。


     結果 放射性物質不検出

◆8月4日 大文字保存会、世情を考慮して計画中止

  京都大文字保存会「たとえ検査機関で調べてもらっても、0ではない」という意見
  が寄せられ、保存会も苦慮した結果、「10ベクレルが検出限界値なので、0かも
  しれないし9かもしれない。9であれば皆さんに迷惑がかかるので今回は中止に
  した」ということで、新しい送り火の方針が示された。

  保存会は遺族らのメッセージを写真に撮り、後日、別の護摩木に書き写して京都の
  「五山送り火」で使用するという。

  山本正・副理事長「陸前高田の方々には申し訳ない。迎え火で燃やすことで気持
              ちに応えたい」と苦渋の表情

  鈴木繁治氏(陸前高田)「時節柄、仕方のないことだと思う」

  藤原氏「不安に思う人がいるのなら押し通すことはない。保存会が現地で(当初
       の計画から)形を変えて亡くなった人や遺族らの思いに応えているのは、
       誠意の表れで感謝している」

◆中止報道後、京都市へ「被災地の思いが無駄にする」「京都に裏切られた」
  などと中止を批判する電話・メールが多数寄せられる。


◆8月8日、京都市から陸前高田市等に連絡

   京都市「薪の一部でもいいから、京都市役所前で燃やさせてほしい」と依頼。
   現地側「気持ちはありがたいが、こちらで迎え火として燃やす」

◆8月8日 陸前高田の迎え火として燃やされる。

  京都大文字保存会の松原公太郎理事長が、メッセージを書き込んでもらった
  地区の避難所を回り、「迎え火」に至った経過、今夕「迎え火」の儀式を執り行う
  旨を説明。

  午後7時、「大文字保存会」の松原理事長や現地の人の手で333本の薪が、
  精霊の「迎え火」として燃やされた。

◆8月10日 被災地の松、一転使用:京都「五山送り火」保存会

  五山送り火の各保存会で作る「京都五山送り火連合会」(京都市)は、現地から
  別の薪を受け入れ、送り火で燃やすことを決定。

  9日、京都市より「京都五山送り火連合会」に打診があり、「大文字」を除く四山の
  会長で話し合った結果、受け入れを決めた。どの山で燃やすかなど詳細は今後、
  協議する。

  大文字保存会も市長から別の薪の受け入れを打診されており「保存会内で検討し
  たい。陸前高田の方々の思いを伝えることが大事」と。

  また、京都市は五山送り火とは別に、15日に市役所前で開催する平和関連のイベ
  ントでも、500本の薪の一部を燃やすことを計画。
  現地で薪を管理している団体から500本を購入。500本は11日にも到着予定で、
  燃やす前に放射性物質の検査を行う方針。

  薪500本は、陸前高田市の薪を販売しているNPO法人「ふくい災害ボラ
    ン
ティアネット」(福井県坂井市)から買い取る計画。

◆8月10日 陸前高田のがれきから放射性セシウム検出

  岩手県は陸前高田市のがれきの中の繊維から1キログラム当たりのセシウムが
  1480ベクレル、プラスチックから510ベクレル、わらから177ベクレルの放射性
  セシウムが検出されたと発表。

  埋め立てが可能とされる国の暫定規制値(1キログラム当たり8千ベクレル)を
  下回っており、通常通り焼却処理するとの見解を表明。

◆8月12日  京都・大文字保存会 護摩木に岩手のメッセージ

  「大文字送り火」に使われず8日に燃やされた薪に書かれていた被災者のメッセー
  ジを護摩木に書き写す作業が、左京区の大文字保存会集会所で始まった。

  書き写す作業は大文字保存会員らが、8日に燃やす前に撮影した写真を元に行わ
  れた。燃やされた薪は333本だったが、1本に複数のメッセージがあるため、護摩
  木は1000本程度になる。
  仙台七夕まつり(6、7日)で募った約2300人が記した護摩木を薪とともにたきあげ
  られる予定。

◆8月12日 福井のNPOから購入し、送り火に使用する前提で京都に輸送
        されてきた薪の検査にて放射性セシウムが検出。
        16日の送り火への使用は中止に。

         
  薪の表皮から1キログラムあたりセシウム137が588ベクレル
  
セシウム134542ベクレルの放射性セシウムがそれぞれ検出。

  3月11日以前に制定されていた原子炉等規制法で、「放射性物質として
  扱う必要がない」とされる基準は 1キロ当たり100ベクレル (製品段階)
  とされている。

  現在、薪の野焼きに関する国が定めた放射性物質の暫定規制値は存在
  しない。
  つまり、上記のような放射性物質と判断せざるを得ない木材を野焼きする場合、
  どの量なら可、あるいは不可という基準がない。
  そのため京都市は法的に、放射性物質が検出された段階で中止という選択肢
  しかなかったと言える。

  http://www.asahi.com/national/update/0812/OSK201108120098.html

◆8月14日 “被災の松”受け入れ供養へ 成田山新勝寺

  http://www.tv-asahi.co.jp/ann/news/web/html/210814032.html

  被災地の松を千葉県の成田山新勝寺が受け入れ、来月、供養のために焼くことに
  なった。
  成田山新勝寺は、岩手県陸前高田市の金剛寺からの依頼で松の木の受け入れを
  決定。
  来月25日、被災者の供養のために護摩木と一緒にたかれる。

  陸前高田市の松は京都市が送り火で使う予定でしたが、皮から放射性セシウムが
  検出されたため、使用を断念。
  新勝寺の担当者は、「追悼が第一だ。皮を削って使うので、問題ないと考えている」
  と話している。
 
◆8月16日 京都五山送り火
  
  五山のうち大文字保存会では、8月8日に陸前高田で迎え火として
  燃やされた薪に書かれていたメッセージをすべて京都の護摩木に
  書き写し、この日の送り火で燃やす予定。



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